ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、まひろ役の吉高由里子さん、ふじわらの道長みちなが役の柄本佑さん、公任きんとう役の町田啓太さんから!


吉高由里子さんの第45回振り返り

——道長に別れを告げる場面は、決意の固さを感じました。どんな心境だったと思いますか?

切実ですよね。すごく苦しかったんじゃないですか。もう自分でも道長の役に立つことができないとわかっているうえに、手に入らない人の側にいる苦しみもあって……。もしかしたら、道長から新しい言葉を聞きたかったのかもしれない。自分が必要とされている、そう信じられるような言葉を聞きたかったのかもしれないですね。

「私がここにいる意味って、何なんだろう?」と、自分の行動すべてがむなしくなっていたと思うんです。だから、私が私でない場所に行って、解放されたい気持ちがあったのではないでしょうか。その一方で、「精一杯せいいっぱいやりました」と言えるくらい、やりきった達成感もあったと思います。


柄本さんの第45回振り返り

——まひろから、かた(南沙良)は道長との子だと告げられましたが、それまで気づいていなかったのでしょうか?

賢子に関しては、僕自身としては「あれ? これは気づいたかな?」と感じる瞬間が何度かあったんです。でも、チーフ演出の中島由貴監督から、「道長は気づかない」と言われて、気づいたように見える芝居を修正されたこともありました。だから、気づいてない前提で演じています。

撮影のときはそうだったんですけど、編集や流れる音楽によって印象が変わって、放送を見たら「そこまで気づいていない感じでもないな」と思いました。視聴者のみなさまには、それぞれが楽しく感じる受け取り方で見ていただければと思います。

——道長が出家したのは、まひろが旅立ってしまったショックからでしょうか?

まひろが旅立って数シーン後には出家すると言い出しているから、そうとしか思えないですよね(笑)。でも、とも(黒木華)に出家の理由を話すところでは、「体も衰えた。休みたい」と説明しているんです。僕が台本に助けられていると思うのは、この「地に足がついた」感じです。

まひろがいなくなったショックや、政治的な判断もあったりするんだろうけど、大石(静)先生の台本は「休みたい」というセリフにいく。立派ではない道長さんを作っていただいていて、その立派じゃないところが、僕はとてもいいなと思ってやっていました。


町田啓太さんの第45回振り返り

——道長(柄本佑)が出家しましたが、旧友としてどんなことを思いましたか?

見た目からして、サッパリしましたよね。雰囲気がまったく変わって、背負っていたものを降ろして楽になったように感じ、良かったなぁと思いました。でも、話すと頼通よりみち(渡邊圭祐)の後ろ盾のことなど考えていて、まだまだ現役だなとあきれる部分もありましたけど……(笑)。

出家する前、「望月の歌」をみんなで唱和するシーンがありました。あのとき、僕の位置から道長の後ろ姿が見えたんですけど、昔の面影そのままだったんです。ボーッとしている三郎のままの後ろ姿で……。それを見て、「道長は全然変わってないんだな」とあんしました。

公任は「望月の歌」を、「よいはまことによい夜であるな~くらいの意味だろう」と捉えましたが、実際、あの歌を詠んでいる後ろ姿は三郎だったので、道長には他意がないことが、公任にはわかったんじゃないかなと思います。