新・介護百人一首

もの忘れ
進めどはは縫う
雑布の
一針一針の
縫い目正しき

山口県西元 静香 80歳)

鳥取県 嶋田幸枝
埼玉県 伊藤フサ子
愛知県 ペンネーム 岩永

詞書

少しずつもの忘れのすすむ姑と、縁側で雑布を縫ったことがあります。すでに亡くなりましたが、思い出して短歌にしました。

感想コメントをいただきました

asaco

認知症が進んでも一針一針雑巾を縫い進めることができ、かつ「縫い目正しき」。きっとこれまで、おしゅうとめさんは丁寧な暮らしを心がけてきた方なのでしょう。その手つきは決して昔と変わらないのに、少しずつ症状が進行する現実。もしかしたら「本当に?」と問うことも多々あったかもしれません。そしていつか、自分のことも忘れてしまうのかと心を痛めたのでしょうか。色褪いろあせた古いアルバムの1ページのような、縁側の美しい光景が目に浮かびました。

asaco

1978年静岡県浜松市生まれ。2男2女のママ。モデルとして雑誌・webやCMなどに出演。子育てにまつわるコラム執筆や、企業の広報PRなど多方面で活動中。2022年よりNPO法人neomuraの理事に就任し、地域活性にも携わる。