新・介護百人一首

亡き母に
尽くしきれたか
悔いがあり
我還暦の
介護士めざす

埼玉県根岸 裕幸 59歳)

愛知県 山口晶世
愛知県 匿名希望

詞書

母が亡くなったのは、二十年以上前。当時は母の気持ちを推し測ることはできませんでした。今も私は未熟ですが、少しは人の気持がわかる気がします。

感想コメントをいただきました

市毛良枝

親との別れを経験し、もっとしてあげられたらと、誰もがきっと持つであろう無力感。そこから新しい感情が芽生え、介護士になろうと決意し、行動する。自身も要介護者に近い年齢での新しい挑戦。とても励まされます。どんな感情も、受け止め方次第で次への行動につながります。老いることが悲しい面だけではないと、皆が知るためにも、次に繋げていく選択が素敵ですね。

市毛良枝

静岡県生まれ、俳優。文学座附属演劇研究所、俳優小劇場養成所を経て、1971年ドラマ「冬の華」でデビュー以後、映画・テレビ・舞台と幅広く活躍。現在は、母の介護の経験を通じ、執筆活動や講演も行っている。趣味の登山をいかし、特定非営利活動法人 日本トレッキング協会理事、環境カウンセラーの資格を持つ。「73歳、ひとり楽しむ山歩き」(2024年2月発行 KADOKAWA)が好評発売中。