ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、藤原道長役の柄本佑さん、公任役の町田啓太さんから!
柄本佑さんの第44回振り返り
——公任から左大臣をやめるよう言われました。
あのシーンはすごく印象的でした。公任が道長の居室を立ち去ってから、「今度は俺が辞めろと言われる番なのか……」というモノローグとともにセットの照明が変わって、日が暮れていくんです。政に対して前を向いて進もうとする一方で、どんどん孤独に、ひとりぼっちになっていくのを感じました。
演出の黛(りんたろう)監督から「ずっと前を向いてきたけど、後ろを振り返ったら秋空になっていたイメージ」と言われて、「なるほど」と。権力者の人生の落陽を感じましたね。
町田啓太さんの第44回振り返り
——公任が道長に対して、左大臣を辞するよう促しました。
道長は全てを動かせる立場なのに、なんでもかんでも首を突っ込んで、いろんな人の意見を聞いています。みんなにいい顔をしていたら、回るものも回らなくなるし、誰も得をしません。だから、一歩引いた位置から政を見た方が良いと、左大臣を辞めるよう説得したんだと思います。
頼通(渡邊圭祐)を筆頭に、道長の子どもたちも公卿になって陣定に出るようになっていますし、任せるべきところは任せる。時代は移り変わっているのだから、いつまでも道長に権力が集中するのは、後継者の育成の面からも良くないという思いもあったでしょう。
公任の道長に対する気持ちは変わっていないので敬意をもって伝えましたし、このことでふたりの関係性が変わることはありません。
——「欲張り過ぎだ」とたしなめる気持ちより、心配のほうが強いのですか?
もう道長に対して忠告できる人間がいないんですよ。でも、旧友の自分なら言いたいことを言える。描かれてはいませんが、おそらく斉信(金田哲)や行成(渡辺大知)とも相談したのではないでしょうか。みんなで話して、「じゃあ、俺が言う」となったような気がします。