ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、まひろ役・吉高由里子さん、藤原宣孝役・佐々木蔵之介さんから!
吉高由里子さんの第29回振り返り
——まひろが宣孝を失った悲しみのなか、物語を書き始めました。
道長(柄本佑)とのあいまいな関係のなかでは全然自分を貫くことのできないまひろがいて、それを振り切って宣孝さんと夫婦になって、子どもができて、やっと夫婦としての形が見えてきたときに先立たれてしまって……。
でも頼れる人なんて誰もいないわけで、それでも生きていかなきゃいけないというときに、まひろのスイッチが入ったのかなと思います。
書き手と言われる人たちは、墨を磨っている間に、「何を書こうかな」と考えるらしいんですよ。たぶん、現実と物語世界では生きるスイッチが違うので、墨を磨りながら、物語側の世界で生きるまひろの目が動きはじめたんじゃないでしょうか。
思えば、まひろの人生はつらいことばかりで、第10回で、いとに「生きてることは哀しいことばかりよ」と言っていたんです。それがこの先どう変わっていくのか、楽しみですね。物語の早い段階でそういうセリフを言わせるということは、大きく変わっていくまひろがいるんじゃないかなーと思ったりもして。
最後は、夢をみる、空を見上げるような、前向きな気持ちで言うセリフが待ってるのかなと期待しています。
——宣孝が死を迎えることになりました。
酒を飲んだあと、苦しそうにいびきをかきながら寝る場面があって、無呼吸症候群の描写をされていたから、大石静さんがフラグを立てているのかな、と思っていました。寝ている間に「ぐっぐっぐっ」って言いながら死ぬんだと……(笑)。でも、宣孝の最期は映像では描かれなかったので、いろんな受け取り方があっていいと思います。
——宣孝に思い残すことはあったと思いますか?
宣孝はまひろから、たくさんのものをもらってばかりいて、彼女に何かを返せている気がしません。「怒った顔がおもしろい」とか、「お前といたら、新しいものが見える」とかばかりで……。
でも、生まれてきた娘に「賢子」と命名できたのは、よかったと思います。賢い子に、というのは、賢い妻、まひろを自慢してたから、そう名付けたわけで……。子どもの名に宣孝の思いが詰まっているように思います。
まひろと結ばれて、まひろと子どもを育てられて、いい人生だったと思います。人生の終わりの2年に、賢子を抱っこして、楽しく「べろべろばー」とかやったりして、最後にまた違う世界を垣間見られたのではないでしょうか。「新しい可能性を体験できて良かったね、宣孝さん」と思います。