新・介護百人一首

駆けつくる
弟と次女を
ひたすらに
母は待ち居り
かすかなる息に

広島県砂田 悦子 76歳)

詞書

「間に合って欲しい」と付き添う私は、母の手をで温めて2人の到着を母と共にひたすら待ったのでした。

感想コメントをいただきました

asaco

待っている人、向かっている人、それぞれの想いが交錯こうさくする様を想像すると、切なさが増します。きっと、弟と次女は別の場所から向かっていて、2人はどんな気持ちで駆けつけていたのでしょう。そして、なかなか辿たどりつかない彼らと、すぐそばで母の手を握りしめている筆者。距離は違えど「お母さん、あと少しがんばって」と、全員が同じ想いを胸に抱いていたはずです。母と手をつなぐのもいつ振りだったのか。幼い頃の記憶が走馬灯のように蘇り、感謝の気持ちでいっぱいになったのかもしれません。

asaco

1978年静岡県浜松市生まれ。2男2女のママ。モデルとして雑誌・webやCMなどに出演。子育てにまつわるコラム執筆や、企業の広報PRなど多方面で活動中。2022年よりNPO法人neomuraの理事に就任し、地域活性にも携わる。