どうも、朝ドラ見るるです!
ついにお母ちゃんが旅立ってしまった先週……「はな湯」存続の危機を救ってくれたゴンベエさん(その正体は、大呉服屋の若旦那・伊福部玉五郎さん!)&三沢光子さん(その玉五郎さんを慕って探し当ててくれた元仲居さん)、ありがとう……!! 奇跡! 天国のお母ちゃんからの贈り物だね(ほろり)。

そして、お父ちゃんはスズ子とともに東京へ……しかし、それから1年。悲しみからどうしても立ち直れないお父ちゃんは、生活の全てをスズ子に任せ、飲んだくれのダメオヤジになってしまったのでした……。

さらに、戦争の影響で公演への規制も厳しくなっていきます。ダンスは3尺(=約90cm)四方の範囲内。それに、楽器のことは和名で呼ばなきゃいけないなんて……。息苦しい現実が、スズ子を襲います。(29日水曜現在!)

でも待って。実際、戦争中の音楽ってどんな感じだったんだろう? 笠置シヅ子さんは、当時どんなパフォーマンスを行っていたの? 突然スズ子に弟子入りを申し出てきた少女・小夜ちゃんを演じているのは誰? そんなふうに思った、そこのあなた!(ビシッ)
見るる調べの豆知識を今週もお届けしていきますよ。それじゃ、レッツゴー!


▼“金属製ひん曲がり尺八”、“妖怪的四弦” !? 敵性語の言い換えを集めてみた!

辛島「今後は楽器を、和名で呼ぶようにお願いします」
一井「日本語でって、急にそんなこと言われてもなあ」

戦争中は娯楽や音楽にも大きな規制がかかっていました。戦意を高揚する軍歌がよしとされ、アメリカやイギリスなどの音楽は“敵性音楽”として弾圧される。

戦時中、ときに不本意ながらも軍歌を作らざるをえなかった作曲家たちの苦悩については、2020年度放送の朝ドラ「エール」でも描かれていましたが……本当にやりたい音楽が演奏できないストレスは、きっとすごかっただろうな。でも、こうやって敵国の文化を生活から廃絶していくことは、戦争あるある。他国でも同じようなことは行われていたといいます。

で、音楽規制と時を同じくして起きたのが、“敵性語排斥運動”。1941年、太平洋戦争が始まったことで、アメリカやイギリスが正式に敵国になったのを受け、英語がもととなった「カタカナ語」をできるだけ日本語に言い換えようという運動のことです。

有名なところでいうと、野球用語。今でも、「本塁打(ホームラン)」「犠打(バント)」「遊撃手(ショート)」と二通りの呼び方があるけど、当時は、「プレイボール」は「はじめ」、「ストライク」は「よし」、「セーフ」は「安全」、「アウト」は「引け」、「タイム」は「停止」とする徹底ぶり。
……巨人のロシア人投手・スタルヒンのことは「須田博」と言い換えていたそうですから、マジ!?って感じですよね。

というわけで、調べてみました。戦時中、呼び方が変わったものの例! まずは、ドラマに出てきた楽器から。

・「ドラム」→「太鼓たいこ
・「トランペット」→「喇叭らっぱ
・「ピアノ」→「洋琴」
・「バイオリン」→「提琴ていきん」or「ひょう箪型たんがた西洋せいよう三味線しゃみせん
・「サキソホン」→「金属製ひん曲がり尺八」
・「コントラバス」→「妖怪的げん
・「トロンボーン」→「抜き差し曲がり金しんちゅう喇叭らっぱ
・「ティンパニ」→「半円鍋型ぎゅう縛り高低自在太鼓」

長い。そして覚えづらい(苦笑)。今考えるとちょっと笑っちゃうような話ですけど、当時はこれ真剣に言ってたってことでしょ……す、すごい世界だ(戦慄)。

音楽関係以外で言うと、ほかにもこんな言い換えが。

・「パーマネント」→「電髪でんぱつ
・「ハンカチ」→「きん
・「パン」→「麪包めんぽう
・「サイダー」→「ふんしゅつすい
・「カレーライス」→「から入汁掛飯いりしるかけめし
・「コロッケ」→「油揚げにく饅頭まんじゅう

すごい……(←2回目の戦慄)。なんか、こういうゲームありますよね。カタカナの単語を日本語だけで説明するゲーム。いや「電髪」「麪包」なんて言われても何のこと言ってるかなんてわかんないですけどね……!

とにかく、大変な時代だってことが伝わってくる。戦争が終わるまであと4年……息苦しい状況が、早く改善するといいんだけど……。


▼それでも、やりたい音楽を──三者三様の“信念”

それにしても、ブルースの女王こと茨田りつ子さん、マジでかっこいいな〜〜!!

「派手な化粧をやめないと今後の公演を差し止める」と言われて、苦渋の末、トレードマークの長〜いつけまつ毛を短く切ってしまうスズ子。対して、茨田さんはこれですよ。

茨田「冗談じゃない! 着飾って何が悪い! 私は、お客様に夢を見させる歌手よ。ぜいたく? 表舞台に立つ者にとって、これは当たり前の格好です!」

茨田の姐さんって呼びたい。痺れるわ。
姐さん(←早速!笑)のモデルとなった淡谷のり子さんも、モンペを拒否し、ドレスを身にまとい、禁止されていた洋楽やブルースを歌い続けた偉大な歌手だったそう。自分が正しいと思うこと、やりたいと思う音楽に自信と誇りを持ってるの、人間として憧れちゃう。まして、戦時中。軍や国に刃向かったら、大げさじゃなく命を落とす危険だってありそうなのに。

茨田「これは私の戦闘服です。丸腰では戦えません。それは私に死ねって言うのとおんなじです」

淡谷さんと同じように、笠置シヅ子さんも、警察当局にマークされていた、いわゆる“敵性歌手”だったようです。そのエネルギッシュでパワフルなステージは時節にふさわしくないとして政府に目をつけられ、1939年には警視庁から、丸の内の劇場への出禁を言い渡されてしまっていたほど。それでも、歌を歌うことはやめませんでした。

一方、羽鳥さんのモデルである服部良一さんも、この時期に作った楽曲の多くが検閲に引っかかって発売禁止にされています。服部さんはあまり軍歌を作らなかった音楽家として有名ですが、実は“作らなかった”のではなく、“作れなかった”が正しいそうです(←これ、ドラマで羽鳥さんも言ってましたね!)。

ジャズのような曲を作るのは得意でしたが、もともと軍歌的な作曲は苦手だったのだそう。それで、検閲でも発売停止でもなんてもやってくれ! ぼくはぼくで好きな音楽を勝手に作る! ……というような調子だったらしいです。

淡谷さん、笠置さん、そして服部さん。3人とも少しずつ方向性は違うけど、それぞれやりたい音楽を貫く信念を持った人たちだったんですね。

それにしても。
いま、毎日ニュースを見ていると、ドラマの世界以上に戦争の悲惨さは痛いほど感じるし、だから、「歌や踊りどころじゃないだろう」っていう人の気持ちも、正直、理解できないわけじゃない。

だけど、戦争で自由が失われていくこととはやっぱり戦わなくちゃいけないし、戦争で何かを解決しようという価値観とは真逆にある音楽や踊りを守ることもまた、ある意味、最前線なんだよね。
一見、エゴで動いているように見えてしまう音楽家たち。でも、違うんだって、うん、見るるはわかってるよ!!


▼今週の見るるPick up! 【押しかけ弟子の小夜ちゃんを演じるのは、俳優・富田望生ちゃん!】

さて──ここで、嵐のように現れた新キャラのお話をしましょう。

小夜「おれを、弟子にしてくんちぇ!」

押しかけ少女、スズ子の弟子志望の小林小夜ちゃん! スズ子のことが大好きで、「スズ子みたいな歌手になるのが夢」らしいけど……茨田さんを「おめえ」呼ばわりしたり、スズ子のお父ちゃんを「父ちゃん」呼ばわりしたり。なんだか波乱を呼びそうな予感!

いや、すでにお父ちゃんとスズ子は大喧嘩をしてしまったし、現状では、やや迷惑キャラではあるんですけど、なんか憎みきれないんですよね。なんでだろう、笑顔が可愛いからかな?

小夜ちゃんを演じているのは、俳優の富田望生みうちゃん。朝ドラには、「なつぞら」(2019年度放送)で、主人公なつの親友・よっちゃんを演じたとき以来の出演! いや〜、また会えてうれしい!(←友達?笑)

富田望生ちゃんの出身は、福島県。なんと、小夜ちゃんと同じなんです! 福島の言葉には沿岸部と内陸とで違いがあって、「〜くんちぇ!(ください)」など、小夜ちゃんが使っているのは沿岸部の方の言葉。実は望生ちゃんもいわき市という沿岸部のまちの出身ということで、あの特徴的な福島言葉はネイティブのものなのだとか!

望生ちゃんも「小夜の、親近感のある言葉遣いと、思い立ったらすぐ行動するところは私とよく似ている」と語っていて、なるほど、めちゃめちゃハマり役ってことですよね。

それにしても……歌手に“弟子”ってなんだかそぐわない感じもするけど、当時はアリだったのかな? 実際はどうだったのか……少なくとも笠置さんの自伝には登場せず!

ドラマの方ではちょうどスズ子に追い出されてしまったばかりなんですが……再登場はあるんだよね!? これからの小夜ちゃんの活躍、楽しみにしていましょう!


さて、今週の豆知識も、お役に立ちましたか?
UGDの公演から遠のく客足、楽団員の徴兵……、ああ、気が重くなることがいっぱいだけど、取り急ぎ! スズ子とお父ちゃんは早く仲直りしてほしいよ。六郎が戦地に行ってしまった今、頼れる家族はふたりだけなんだからさ……! 
というわけで、今回はここまで。 それではごきげんよう〜!

"朝ドラ"を見るのが日課の覆面ライター、朝ドラ見る子の妹にして、ただいまライター修行中! 20代、いわゆるZ世代。若干(かなり!)オタク気質なところあり。
両親(60&70代・シニア夫婦)と姉(30代・本職ライター)と一緒に、朝ドラを見た感想を話し合うのが好き。

小林小夜役 富田望生さんのインタビューは、「ブギウギ」公式サイトで公開中!