見るるです! いよいよ最終週を迎える「ブギウギ」。スズ子の明るく楽しいステージをテレビで見られるのも、あと少しです。そのパフォーマンスが必見なのはもちろんですが、毎回、曲に合わせて変わる華やかな衣装も見逃せませんよね!
そこで今回は、これまでスズ子がステージで披露してきた衣装を、たっぷりの写真で振り返ります。さらに、スズ子の舞台衣装を担当した森津妙子さん、劇中衣装全般を担当した横山智和さんに、衣装制作の裏話も聞きました★
NHK公式YouTubeチャンネルのステージ動画への案内もしていますので、ぜひ最終週に向けて、気持ち、高めちゃってください♪
第1週 東京ブギウギ
まずは第1回の冒頭で披露された「東京ブギウギ」。抜群のインパクトでしたよね! 一見、普通のワンピースですが、とにかくステージ上でスズ子、動く動く……。あのダンスに耐えられるワンピースって実はすごいかも?
横山さん この衣装は、スズ子のモデル・笠置シヅ子さんが実際に着ていたワンピースのイメージで、形、色、柄を決めました。参考写真があったので、大きな花柄は、ある程度寄せたのですが、実はこのとき僕が見ていたのは白黒写真。あとからカラーで見たら、色合いまで似ていることがわかってびっくりしました。
衣装を合わせたときには、着て、実際に動いていただいて、そのうえで脚の上がり具合や腕の上がり具合を見て、細かい部分を調整をしました。
第2・3週 四季の宴
スズ子が初めてステージに立ったのは、梅丸少女歌劇団(USK)の「四季の宴」。今見ると、なんて初々しい!
第4週 ラインダンス
みんなで特訓の成果を披露したラインダンス。このミニ丈ドレスは通称「赤ダルマ」と呼ばれていたとか!
第5週 恋のステップ&桜咲く国
USKで“歌の福来”として売れ始めたころ、スズ子だけちょっとデザインの違うドレスを着ていました♪
そして、東京へ行くためにUSKを卒業! このときはみんなとお揃いのドレスでした。
森津さん 梅丸少女歌劇団のパートは、基本的には普段OSK日本歌劇団で使っているものにアレンジを加えて作りました。というのも、何しろ、舞台に上がる人数が多く、数を揃えなければいけないので……。そもそも、OSKでも公演ごとに一から衣装を作ることはまれで、もともとあるドレスに手を加えて、全く別の衣装に見せるという工夫をしているんです。例えば胸元にスパンコールをつけたり、袖の形を変えたり。梅丸での衣装の中では、趣里さんは、ラインダンスのときのドレス「赤ダルマ」が気に入っていたようでした。
第6週 ラッパと娘
東京に出たスズ子が、羽鳥善一と初めて作り上げた曲、それが「ラッパと娘」でした。「スウィングの女王」にふさわしい、モダンな衣装にも注目が集まりました!
森津さん これは、「ラッパと娘」で笠置シヅ子さんが着ていた衣装の資料からヒントを得ました。実際には、真珠のネックレスをジャラジャラと重ね付けしているのですが、ドラマでは、それだと動くのに邪魔になるということで、ボディーに縫い付けてみました。白いレースは舞台演出の荻田浩一さんからのリクエストですが、ただ真っ赤なドレスよりも、年相応のかわいらしさを表現できたかなと思います。
ただ今回、ステージ衣装においては、あまり時代考証にとらわれすぎないようにしているんです。もちろん演出の方々と最低限の部分はおさえていますが、あとは比較的自由に、スズ子の魅力が引き立つことを重視して衣装をデザインさせていただきました。やっぱり、ステージはいつの時代も、明るく華やかで楽しいのが一番ですから!
第7週 センチメンタル・ダイナ
人気者になったスズ子のために、羽鳥が変わり者の作詞家・藤村薫と作った新曲「センチメンタル・ダイナ」。夜の街に三日月が浮かぶセットをバックにしたパフォーマンスは、雰囲気たっぷりでしたよね!
森津さん これも笠置シヅ子さんの実際の衣装をヒントに作りました。腰のリボンも、その資料から。また少し大人の雰囲気もある曲なので、「ラッパと娘」から一転、色も形もおさえめにしました。ちなみに、ステージ衣装は、ステージで映えないと意味がないので、あらかじめセットの色などを確認して、ドレスの色味を決めるようにしています。
第10週 大空の弟
戦死した弟・六郎を思って歌った「大空の弟」。涙で画面がよく見えなかったけど、改めて見ると、このときの装いは、ステージ衣装というよりは、ちょっと上品なお出かけ用ワンピースといった風情。戦時中だもんね……。でもステキ。
森津さん このときは時代背景を考えて、露出は控えめに、地味めな色でというオーダーがありました。そこで、純白よりも控えめに見えるグレージュという色の布でワンピースを作りました。ポイントは、胸元のリボンとベルトです。同じ布の裏地を使って光沢がでるようにしました。アクセサリーや髪飾りをつけられない中での、ちょっとした工夫ですね。でも、おそらく当時は、これだってありえなかったかもしれないとは思っています。
第15週 ラッパと娘
やっと戦争が終わって、日帝劇場の再開コンサートが開催! 久々のスズ子全力のステージで披露したのは「ラッパと娘」でした!
森津さん 戦前の「ラッパと娘」の衣装の色味を踏襲して、赤地に白レースという組み合わせでデザインしました。でも、まだ装飾品をジャラジャラつけられる時代ではないということで、控えめにはしています。
第16週 コペカチータ
タナケンと初共演の舞台で披露したのは、ラテン調の新曲「コペカチータ」。羽鳥さんいわく、「君のイメージで作った」曲だとか。確かに、スズ子の魅力が爆発のステージでした!
森津さん 実は、趣里さんにも大好評だった衣装です。こちらも荻田さんが、曲に合わせてラテンっぽくしてほしいということだったので、とにかく明るくかわいいスズ子が引き立つようにデザインしました。舞台上で、上に着ている服を左右に引き抜いての早変わりという演出があったので、あとのオレンジ色が引き立つように、もとの服の色は反対色の紺色にしています。現場でもいちばん人気。私自身もお気に入りですね。
第18週 ジャズカルメン
愛助との子どもをおなかに宿したスズ子。でも、舞台は待ったなしということで、まさかの妊婦「ジャズカルメン」が誕生しました。これはこれですごく色っぽいんですが……!?
森津さん さすがに難しかったですね(笑)。まず、おなかの大きさはどれくらいにする?から話が始まりました。あまり小さくてもわかりづらいし、大きすぎると生まれてきそうだし。それでも、脚をすっぽり隠すようなドレスだと、もったりしすぎるし。それに妊婦でありつつもきれいな脚は見せたいということで、膝下は出るようにデザインしました。
第20週 ジャングル・ブギ―
“ブギの女王”として君臨するスズ子が「東京ブギウギ」に続いて出したのは、某有名監督の映画のタイアップ曲「ジャングル・ブギー」。ま、まさに新境地! こんなワイルドな朝ドラヒロイン、見たことありません!
森津さん これも、笠置シヅ子の「ジャングル・ブギー」の衣装から発想して作っています。実は私はこれまでにも、何度か笠置さんの舞台の衣装を担当しているのですが、「ジャングル・ブギー」といえばヒョウ柄は定番ですね。今回は特に、荻田さんからの希望で、肩から出ている羽根もプラスしています。いっそうワイルド感が増したのではないかと……。あと、またしてもきれいな脚を見せたくて、スカート丈は当初よりどんどん短くなっていきました(笑)。衣装合わせのとき、最初は趣里さんも少し驚いていたようですが、結局ノリノリで着てくれました。
第22週 買い物ブギ
次なるスズ子の新曲は、「買物ブギ」。下町のおかみさんのようなエプロンまで着けてます。それでもちゃんと似合っちゃうんだから、こりゃ、ほんまにかなわんわ〜。
横山さん 笠置さんも、庶民的な主婦のような服にかわいらしいエプロンをつけていたので、最初からその方向性でした。下のワンピースは、もともと別のシーンの衣装の候補だったもの、赤いチェックのエプロンは見本で持ち込んだものでしたが、そのまま採用に。まさに庶民感覚でできた衣装です(笑)。
第24週 ラインダンス 東京ブギウギ
「羽鳥善一ニ千曲記念ビッグパーティー」でのサプライズ! なんとスズ子とりつ子が「東京ブギウギ」でラインダンス。2人おそろいの衣装も、すごく新鮮でした。
森津さん ラインダンスですから、脚を上げなくちゃいけない。かといって、USK時代のようにミニスカートというわけには、もういきません(笑)。なので、この時代に流行ったサブリナパンツを合わせてみました。
第25週 ヘイヘイブギ
年末の歌番組でトリを飾ることになったスズ子。一方、そのトリ前には、若手人気歌手・水城アユミが出て、スズ子の持ち歌「ラッパと娘」を歌うという。新旧歌姫対決の行方は……!?
森津さん トリを飾る歌手としての貫禄が出ることを意識してデザインしました。トップスは、この頃流行っていた「ペプラム」という、ウエストから裾がふわっと広がったデザインに。一方、若手歌手のアユミのほうは、かつてスズ子が着ていたような赤いドレス。2人の対比をはっきりとつけてみました。
最終週 東京ブギウギ バラードver.
そして最終回、歌手引退を決意したスズ子が開いた最後のコンサート。その姿は、まさにディーヴァ! ステージ衣装も、最も気合が入った一着になったようです。
森津さん これまでで一番シックなスタイルで、落ち着いた大人の女性、伝説の歌姫というのにふさわしいロングドレスにしました。輝く金色で、スパンコールもたっぷり。ステージ上でのパフォーマンスを、私も見せていただきましたが、迫力があって、本当にグッとくるものがありましたね。
番外編 茨田りつ子の美麗なるステージ衣装&普段着!
スズ子のライバルとして、ともにステージに立ち続けてきた歌手・茨田りつ子。クールな彼女のステージ衣装は、本人いわく「戦闘服」。
横山さん りつ子のモデルである淡谷のり子さんのイメージは、ゆったりとしたドレスだったのですが、演じる菊地凛子さんはほっそりしているので、それはあまり意識しないでということになりました。スズ子と違って、ステージで動き回らないため、その制限もなかったですし。りつ子は、(スズ子のステージ衣装が赤系なのに対して)青系が多かったですね。
横山さん 実は、初登場のシーンで着ていた服を、普段着にするかステージ衣装にするか、演出家の方が迷って、結果、普段着になったんです。なのでその後も、舞台より普段着が派手めになりました。ですから、りつ子については時代や当時の常識を反映させるというよりも、イメージ先行型です。毎回衣装を準備するのは楽しかったですが、その分しんどいキャラクターでもありましたね(笑)。
森津さん、横山さん、貴重なお話ありがとうございました!
さて、次はチーフ演出の福井充広ディレクターが登場です。これまでの振り返りはもちろん、最終回までの見どころも聞いたので、ぜひ次回もチェックしてね!
福井充広ディレクターのインタビューはこちら
"朝ドラ"を見るのが日課の覆面ライター、朝ドラ見る子の妹にして、ただいまライター修行中! 20代、いわゆるZ世代。若干(かなり!)オタク気質なところあり。
両親(60&70代・シニア夫婦)と姉(30代・本職ライター)と一緒に、朝ドラを見た感想を話し合うのが好き。