ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、まひろ役の吉高由里子さん、ふじわらの道長みちなが役の柄本佑さん、一条いちじょう天皇役の塩野瑛久さんから!


吉高由里子さんの第33回振り返り

――いよいよ「まひろ第2章」が始まりましたね。

内裏だいりに上がって藤壺ふじつぼで女房として働くようになってからは、衣装も変わりましたし、毎日見ていた風景もガラッと変わったので、「ああ、いよいよだな」と……。今は自分の心で用意をしなくても、自然と「第2章に押し出されている」ような感じがしています。

とてもみやびな世界で、優美な動き方も多くて、現場がドタバタ動いているという感じの撮影ではないのですが、動きがない分、大変なこともいっぱいありますね。何より、女房にょうぼう装束しょうぞくでの撮影に慣れていなくて。為時ためとき(岸谷五朗)邸にいたときのほうが、はるかに身動きが取りやすくて楽でした(笑)。

――まひろが『源氏物語』を書き続けることで、道長との関係は変わっていくのでしょうか。

今までのまひろと道長は、どんなに一緒にいたいと願っても、同じ空間にいることがほとんどありませんでした。それが、まひろが内裏に入ったことで、道長と一緒にいられる空間も生まれ、距離はすごく近くなったのに、なんだか遠い関係になってしまったように感じて……。

それこそ、藤壺に出仕する前のまひろと道長、三郎だったときのほうが、身分は遠かったけれど、心の距離は近かったような、そんなことも思ったりして。もう一生結ばれないんだろうなと思っています。


柄本佑さんの第33回振り返り

——まひろが内裏に上がってきて、変化はありますか?

すいぶん関係が変わってきていますね。まひろとの距離も近くなって、道長がまひろのつぼねに行く機会が多くなりました。今までのソウルメイトとしての信頼関係とも違う、落ち着いた関係が生まれて、より強固になっている印象があります。

まひろから「物語の力で帝を振り返らせることができるのか」と疑問をぶつけられたとき、「お前が最後の一手なんだ、頼む」とすがれるようになったところが、長い時間をかけて変わったところですね。まひろの前で、父親としての道長を素直に出せるようになったと思います。


塩野瑛久さんの第33回振り返り

——一条天皇にとって『源氏物語』は、どんな意味を持つと感じていますか?

『源氏物語』に描かれていたことは一条天皇にとって本当に新鮮で、自分のことを悪く言っているようにも受け取れました。だから、その真意がどこにあるのか余計に興味を持った。まひろという人物が頭の中で何を考え、どういう意図で書いたのかを知りたかったのだと思います。

というのも、さだ(高畑充希)がいなくなったことで、一条天皇の心はブレていたと思うんです。自分の気持ちをどこに着地させていいのかわからないし、自分が今まで行ってきたことが正解なのかどうかもわからない。なんなら間違っていたとも思っている。

でも、周囲には野望や思惑が飛び交っていて、そこに振り回されると自分の意思はなくなってしまいます。だから、自分で答えを見つけようとしていた一条にとって、『源氏物語』は大きな意味を持ったのではないでしょうか。読んで気になったことを、書いた本人に問うことで、自分の中で落としどころを見つけようとしていたのでは、と思っています。