ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、ふじわらの為時ためとき役の岸谷五朗さん、べのはるあきら役のユースケ・サンタマリアさんから!


岸谷五朗さんの第32回振り返り

——だいに出仕していくまひろ(吉高由里子)に対して、為時は「お前がおなであってよかった」と声をかけましたね。

大石静さん、すごいなぁと思いました。まひろが子どものころから、ずっと「お前がおのであったらよかったのに」と言い続けてきたのが、あそこに来て「お前がおなであってよかった」というセリフに変わる。もう全てを表現している言葉です。

あのセリフを言うときは、自分でもシビれました。為時にとって最高の褒め言葉であり、「生まれてきてくれて、ありがとう」の気持ちであり、母親のことで「つらい思いをさせて、ごめんね」であり、いろいろな思いがあのひと言に集約されているんですね。まひろをしっかり送り出せたことも合わせて、すばらしい言葉を贈れたと思います。


ユースケ・サンタマリアさんの第32回振り返り

──晴明の最期のシーンは、いかがでしたか?

「わたしは今宵こよい死にまする」と予告するんですよね。寿命で静かに亡くなる人って、自分でわかるんですかね? 僕にはわかりようもないけど、ただ言えることは、晴明には、わかった。だから最後に、道長を呼んで伝えたんですよね。「ようやく光を手に入れましたな」と。この、言いたいことを、濁す感じがいいですよね。

須麻流すまる(DAIKI)も一緒に亡くなります。「須麻流=晴明が操っている式神説」を唱える人からしたら、「そりゃあ晴明が死んだんだから」と思うのかもしれません。でも、僕には「尊敬する人が亡くなったから自分もお供します」みたいに思えて。個人的にグッときました。

大石さんの書く本って、本当にすてきで……。僕は、割と自分のエゴを台本にぶつけてしまうタイプなんですけど、今回は、もう言われたとおりにやりますって感じでした。

それに、記録更新なんですよね。今週が第32回だから、最初から3分の2は出ていたことになるんですよ。大河初出演の「りんがくる」では、途中参加の途中退場でしたから、それに比べるとずいぶん……。あれはあれで満足ですけど、やっぱり長くいたいじゃないですか(笑)。案外、長くいられたな、いいところで去るな、と思っています。