ついに決行されたわね、“桃色争議”……!
どうも、朝ドラ見るるです。
それにしても“桃色争議”ってどうして“桃色”なんでしょうね? 先週お父ちゃんもチラッと言っていた“赤”……つまり、共産主義を薄めた色だからなのか、それとも女性主体の活動=可愛い色というイメージからなのか……どちらにせよ、令和の女性としては、ちょっとばかにされたような感じがするなぁ。だいたい女性=桃色という感覚が古い!(いや、昔の話なんだから仕方ないけど。ピンク色は好きだけど)。争議が行われた1933年(昭和8年)は、まだまだ女性の主張は軽んじられていた時代だったのかもですね。

第4週は、不況の煽りを受けて賃金削減と一部団員の解雇を発表した梅丸歌劇団経営陣に対して、レビューガールたちがついに決行したストライキのお話。賃金削減、人員削減を取り下げてもらうことには成功したものの、先輩たちは退団することに……。
でも、そもそも“桃色争議”って、史実? ストライキって? 橘先輩(翼和希)と大和先輩(蒼井優)の関係も気になる……!?
そう思った、そこのあなた!(ビシッ) 
ふっふっふ、見るる、教えちゃいますよ。それじゃ今週も豆知識、スタート〜!


▼少女たちの戦い──実際の“桃色争議”って、どんなだったの?

結論から言うと! 「桃色争議」とは、1933年に、松竹株式会社の少女歌劇部と楽劇部のメンバーたちが起こした労働争議のこと。つまり、東京と大阪、2つの松竹の劇団の団員たちが親会社に対して声をあげたわけです。あ、その前に。当時、松竹は、東京と大阪、両方に拠点を持っていたんです(大阪のほうが、のちのOSKにつながる)。ドラマの方を振り返ってみると、橘先輩もこんな発言をしていました。

橘「東京では、弁士や楽士が首を切られてストライキを行っているようです。お客様のためにもそんなことは絶対にしたくないし、そうならんように闘いましょう!」

実は前年の1932年、松竹は東京の活動弁士、楽士のリストラも行っているんです。う〜〜ん、不況のせいとはいえ、「現実に立ち向かう力」を人々に与えるエンタメ従事者がバッサリ切り捨てられちゃうの、世知辛せちがらいなあ。
ちなみに “楽士”は楽器を演奏する人。そして “活動弁士”とは、活動写真(=無声映画)の上映中に、その内容を言葉で説明してくれる解説者のことです。
その時の闘争では、会社側が勝利。これを受けて松竹は、翌年、レビューガールに対しても解雇や賃金削減を言い渡したんですね。

東京の松竹少女歌劇部で争議の中心となったのは、男役として絶大な人気を博していた、「男装の麗人・ターキー」こと水の江瀧子さん。ドラマでは東京の話は具体的には出ませんでしたけど、実際の桃色争議は、この水の江さんの愛称にちなんで「ターキー・ストライキ」とも呼ばれているんですよ。
そして大阪の松竹楽劇部で争議の委員長を務めたのは、娘役のトップスター・飛鳥明子さんでした。笠置シヅ子さんも、舞台をサボタージュして高野山に立て篭もったんだそうです。
争議の結果、飛鳥さんは退団、水の江さんもしばらくは謹慎処分に。しかし笠置さん含め多くのメンバーにはお咎めもなく、団員の待遇改善の要求はほぼ認められたのでした。

一方、ドラマでは大和先輩の退団をもって、USKの桃色争議は終了。それについていく形で橘先輩も梅丸を辞めることになりましたよね。レビューガールたちの権利は守られた!という嬉しさの反面、戦いの代償、あまりにも大きいよ……(泣)。

先輩たちの志を引き継ぐように完成したラインダンス、素晴らしかったですね。放送されたのは曲の最初と最後だけでしたが、実はあれ、撮影時は全員フルで踊ったらしいですよ。曲が進むにつれてボルテージが上がっていく踊りなので、通しで踊った方がうまくいく!ってことらしいんだけど、マジ、圧巻だった。

そのシーンの特別編集版の動画はこちら!
「四季の宴・ラインダンス」フルバージョン X「ブギウギ」公式


▼日本で最初のストライキも、女性たちが起こしてた!?

そういえばストライキって海外ではよく聞く気がするけど、日本ではあんまり起こらないですよね。……と思ったけど、ありましたね、最近。百貨店・西武池袋本店が、ことしの8月末にストライキで全館臨時休業、ってニュース! 大手デパートでは61年ぶりということで、結構話題になった記憶が・・・。

で、ちょっと気になって調べてみたんですが、日本で最初のストライキっていつ?

それは、な、なんと1886年(明治19年)に山梨県甲府にあった「雨宮製糸工場」に勤める女工さんたちが起こしたものなんだそう!!
あまりに長い労働時間、お盆と正月以外に休日なしという状況に抗議して、約100人の女性が、仕事を放棄して近くのお寺に立て籠ったんだって。しかも、最終的には会社側に要求をのませたって。
え〜、これはスゴイ!!

ちょっと、見るる、なんとなく勇気が出ました。いざというとき、女性は強いのだ!(エイエイ、オー!)


▼今週の見るるPick up! 【百合文化と、橘・大和・股野トライアングル!?】

……ここで、見るるが今週一番胸にきた登場人物の話をさせてください。

橘「(2度と舞台に立てなくなる覚悟で大熊社長にストの決行を宣言した大和先輩に対して)あかん! 絶対に行ったらあかん! 絶対に行かせへん。ウチは…ウチは、あんたのこと…」

橘先輩!!! 切ない。しんどすぎる。リリーのにらみ通り、橘先輩は大和先輩のこと、好きだったんですね……。ただの恋愛感情とはちょっと違うような気もするけど、長年USKを一緒に支えてきた二人だからこそ、むしろ恋愛よりも深い魂の(!)繋がりがあったんだろうな。

「百合」って言葉、知ってますか?
女性同士の恋愛感情・関係を指す言葉で、実は、この時代、若い女性たちの間ですごく流行っていたみたいなんです。例えば、吉屋信子さんの『花物語』という小説なんかが発表されたのもこの時期。いわゆる女子校(当時だと女学校?)で、後輩が素敵なお姉様(先輩)に思いを寄せる……的なものが描かれたりして。

一方、「シスターフッド」って言葉、知ってますか?
恋愛感情ではなく、女性同士の連帯や団結を指す言葉で、最近、ジェンダー論界隈でよく使われるようになった言葉です。大和先輩たちがそのカリスマ性でみんなを引き連れ、山に籠ったのとか、まさにこういうことかなって思います。

で、橘先輩から大和先輩への思いが、このどっちなのか?なんて決めつけるのはナンセンスだと思うんですけど、その両方をしっかり描いてくれたなあって思っていて。

冒頭にもちょっと触れましたが、令和の今と違って、女性が社会的にも恋愛においても自由度が低かった時代。女性はいずれ男性と結婚して子どもを産むことが当たり前っていう価値観が一般的でした。
そんな中だからこそ、逆に、この時代、「百合」っていう文化が若い女性たちに受け入れられたんじゃないかなって思うのは、ちょっと考えすぎですか!?
ある意味、当時の価値観への抵抗というか、意思表示というか。

ドラマを見ていて、USKのみんなって、すごく「新しく」見えるなって思っていたんですが、そういう部分もあるんじゃないかなって。ダンスとかってことだけではなくて、女性が、自由に、自分たちの感情を表現できる場所でもあったのかなって。そんな中で橘先輩が、大和先輩に打ち明けた思いが、なぜかちょっと、嬉しかったりしたんですよね〜。

とはいえ!
ストライキには同行せずに、大和先輩が帰ってくる場所──劇場を一人で守っていた橘先輩のことを考えると……しんどいですよね……。彼女だって、大和さんのために、彼女が愛するUSKのために戦っていたんです! 社長室に一人で乗り込んだり、一緒に責任をとってUSKをやめたり。目立った闘争はしていないように見えるかもですが、橘先輩も負けず劣らず、自分の主張を通してる。それでこそUSKのトップスターですよね!

でもでも、恋敵(?)の股野さんに応援するような言葉をかけちゃうとこなんてのは、そこは橘先輩、なんて……なんて不器用なのっ(泣)。
大和先輩も、股野さんの告白にはオトメみたいな顔しちゃってるし。橘先輩の告白にはあんな……余裕の抱擁だったのに……。どういうことですか!?

言っておきますけど、この三角関係(?)、見るるは断然、橘先輩推しです。
橘先輩の、静かで熱い思い、絶対、ぜ〜〜ったい報われてほしいもん! USK退団後の先輩ズに……期待、していいですか!?


ということで……今週の豆知識、お役に立ちましたか?
ところで、先週に引き続きだけど、水曜日の時点でまだ週タイトルが回収されていませんね!? スズ子、明日から香川に行くのかな? 香川といえば……うどん食べにいくとか!?(←絶対違う。笑) 楽しみに、次回を待ちましょう。
それでは今週はこの辺で。また来週〜!

"朝ドラ"を見るのが日課の覆面ライター、朝ドラ見る子の妹にして、ただいまライター修行中! 20代、いわゆるZ世代。若干(かなり!)オタク気質なところあり。
両親(60&70代・シニア夫婦)と姉(30代・本職ライター)と一緒に、朝ドラを見た感想を話し合うのが好き。