ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、まひろ役の吉高由里子さん、ふじわらの斉信ただのぶ役の金田哲さんから!


吉高由里子さんの第31回振り返り

——道長みちなが(柄本佑)がまひろに『源氏物語』を書くきっかけをもたらしますが、心境は?

なおひで(毎熊克哉)たち散楽さんがくの人から物語の楽しさを学び、『蜻蛉かげろう日記』の作者のやす(財前直見)さんから「書くことで己の悲しみを救う」ことを教えられ、まひろには物を書くことに対しての意識がずっとあったと思います。

道長に物語を書くように言われて、初めて自分の中で何かが切り替わる瞬間が訪れたのでしょう。文章が人に寄り添えるということは、ききょう(ファーストサマーウイカ)と定子さだこ様(高畑充希)の関係を知って確信に変わったと思うんです。言葉の力は読む人に魔法をかけることができるんだと。

第31回では、物語を思いついた瞬間の描写が好きです。パラパラパラって、文字が書かれたカラフルな和紙がまひろの周りで舞っていたり、巻き紙も落ちてきたりして、ずっと見るのを楽しみにしていたシーンでした。

撮影しているとき、「あぁ、これで前半が終わるんだ」という気持ちになりました。何時間でも撮影していていいな、と思ったぐらいで、「終わってしまうんだ」と「ここから始まるんだ」のふたつの感情が同居していました。ここから「光る君へ」の第2章が始まるんですよね。

それにしても1年間の放送ですからね。こんなに長い作品、初めてですよ(笑)。終わったとき、何を思うのかな?と感じたりもして、自分でもよくわからない感情がこみ上げてきました。


金田哲さんの第31回振り返り

——出世争いで斉信がついに公任きんとう(町田啓太)を追い抜きましたね。

斉信は器用で権力へのすり寄り方がうまいけれど、公任はそれをやらなかったんじゃないですか。公任は父上の頼忠よりただ(橋爪淳)が亡くなってから後ろ盾がなかったし、取り入った道兼みちかね(玉置玲央)もあっという間に、この世を去ったし。

抜かれて悔しがってくれていたらうれしいですね。公任は斉信を意識してないフリして、実は意識していたかもしれない。もちろん、斉信のほうはいちばん意識しています。道長があんな出世をした以上、公任には抜かれてたまるかと。一生それが続いたんだろうな、と思います。

お笑いに置き換えると、僕らの同期の「オリエンタルラジオ」が先にバーンと行って、その後「フルーツポンチ」と「はんにゃ.」のどっちが続くんだ?っていう。それはデビューしてから20年経った今もそうですから、一生続くと思うんですよね。

そんなふうに、公任と斉信も永遠のライバルで、勝敗はまだわかりません。わからないじゃないですか、どっちが幸せなのか。最後の最後まで権力を求めるのか、本当にやりたい趣味を極めて優雅に生きるのか。これはもう人それぞれの幸福論だな、と。もしかしたら、公任は「斉信は最後まで権力にすがりつけよ」と思っているかもしれませんね。