現在放送中の夜ドラ「柚木さんちの四兄弟。」で、主人公・ゆずはやとを好演中の藤原大祐。

四兄弟のありふれた日常の中に、思わぬトラブルやすれ違いがありながらも、4人の笑顔と癒やしでほっこりとした気持ちにさせてくれる本作。放送も4週目に突入し、四兄弟のそれぞれの立場や抱えている悩みもちらほら。そこで、隼を演じる藤原に、弟たちとの撮影秘話や今後の見どころを聞いた。

あらすじ
2年前に事故で両親が亡くなり、男ばかり四兄弟で暮らしている柚木家。高校教師の長男・、大人びた秀才の次男・みこと(中1)、明るく元気いっぱいの三男・みなと(中1)、しっかりものの四男・がくと(小1)。四兄弟は、お向かいの家族や、学校の友人たちなど、色んな人々に囲まれて明るく賑やかに暮らしています。
そんな彼らのほっこりとした日常生活の中にも、時として“ささやかな事件”が起こります。
互いへの思いやりが招く家族間のすれ違いや、思春期の成長に伴うコンプレックス……そんなどこにでもあるけれど、本人にとってはとても重大な問題に、四兄弟が寄り添い、一緒に乗り越えていきます。

――両親が事故で亡くなったとき、四男の岳(永瀬矢紘)を親戚の家に預けるという選択もありましたが、隼はなぜ四兄弟で暮らすことを決断したと思いますか。

きっと岳の気持ちを考えたんだと思います。「岳だったら、別の場所で暮らすよりも、兄弟と一緒に暮らしたいと思うだろうな」と。それと、両親が亡くなってしまった寂しさはあるけれど、四兄弟の環境を変えたくなかったという思いがあったんじゃないでしょうか。

隼としては、この家で今までと同じような暮らしができるようにしたい、弟たちに不自由な思いをさせたくないと考えたはずです。働きつつ家事をして、親代わりをしている感覚もあるかもしれないですけど、それは彼なりの信念を貫いた決断だったと思います。

――隼にとって3人の弟たちはどのような存在だと感じていますか。

隼にとっては弟たちの笑顔を見ることがいちばんの幸せであり、そのために生きているところがあると思います。自分の幸せよりも弟たちの幸せを心の底から思えるお兄ちゃんなんですよね。

時には弟たちの将来を心配して、ちょっと厳しく言う場面もありますが、基本的には「3人の弟たちが笑ってくれれば、それでいい」という思いが強いと思います。

――3人の弟たちは性格もバラバラですが、隼はそんな弟たちとどのように接していると思いますか。

二男の尊(大野遥斗)は、隼よりもしっかりしているので、隼も結構頼っているところがありますね。具体的なことを言えば、「あの家事お願い」とか、「これやっておいてくれてありがとう」というやりとりもしていますし、もう一人のお兄ちゃんのような感じでとても頼りにしている気がします。

三男の湊(山口暖人)は、いつもみんなから「おい、湊~!」って注意されているようなキャラクターなんですけど、どこか憎めないところがありますね。隼もそんな弟に振り回されながらも、かわいいやつだなあと思っているはずです。

四男の岳については、すべてにおいて感心しています。「6歳でこれができるのはすごい!」と毎回驚いてしまうほど。もちろん弟たちのことはみんな誇らしく思っているんですけど、岳には違った誇らしさを感じているかもしれません。

――3人の弟たちを演じる大野遥斗くん、山口暖人くん、永瀬矢紘くんの印象を教えてください。

3人ともドラマの役柄とそっくりで、今回は最高のキャスティングだなと感じています。岳役の永瀬くんはとにかく頭がいいですね。もう賢すぎるので、僕は「びっくり人間」と呼んでいて(笑)。

撮影の休憩時間には、頭を使う大人向けのドリルみたいなのを楽しそうにすらすらと解いているので、すごいなと感心してしまいました。

湊役の山口くんは、湊と同じようにてんしんらんまんといいますか。撮影の合間は基本的に歌を歌っていて、しかも普通のJ-POPの曲ではなくて謎の歌なんですよ(笑)。自分の歌に合わせてスキップしながらセットの中を移動したりしているので、そこがまた愛らしいなと。

尊役の大野くんは、撮影現場でもお兄ちゃんらしい一面を見せることがあって。僕の前ではかわいい弟という感じなんですけど、山口くんや永瀬くんにはいろいろ教えてあげたりしていて、とても面倒見がいいんです。でも、少し不器用なところもあるので、そのギャップのかわいらしさが大野くんの魅力だと思います。

――第1週では、フラワーパークのシーンがありましたが、そのときの撮影の思い出は何かありますか。

撮影したのが結構暑い日で、みんな口をそろえて「暑いね~」と言っていたんですけど、特に山口くんは暑いのが苦手だったようで。ふだんは歌って踊って元気なのに、この日はテンションが下がっていましたね。

もちろんお芝居はしっかりやるんですが、カットがかかった瞬間、下を向いている感じだったのでみんなから心配されていました(苦笑)。

でも、その暑さもあって、撮影の合間にいただいたアイスクリームが本当においしくて。そのときは山口くんもうれしそうに食べていましたし、最終的にはみんな2個ずつは食べていたと思います(笑)。

途中からは「アイスを食べるために撮影を頑張ろう!」という感じになっていて、食べている時も周りの大人たちから「こぼさないで」と注意される一幕もあったんですけど、アイスクリームを食べてからはみんな元気に撮影していましたね。

――藤原さん自身はきょうだいがいないということですが、隼役を通してきょうだいっていいなと感じる部分はありましたか。

僕は一人っ子なので、もともときょうだいに憧れがありました。お兄ちゃんがいたら、いろいろなところに連れていってもらって一緒に遊んだり、お姉ちゃんがいたら、女性ならではの視点でいろいろ教えてもらったり……。もちろん、弟や妹がいたらかわいいだろうなあと思っていましたね。

今回の作品を通して、きょうだいの魅力を知ることができたのはもちろんですが、僕自身が周りの人を応援したくなるタイプで、その最上級が弟なんだなと気づきました。だから、共演した“3人の弟たち”が20歳に成長した姿が、今から楽しみでしかたありません。

3人ともお芝居の仕事が好きで、この先も活躍してくれたらうれしいですし、僕も彼らともう一度共演できるように頑張りたいです。もし仮に俳優の仕事を辞めたとしても、幸せに暮らしてほしいなという思いがすでに芽生えているので、またいつか再会したいですね。

――柚木家のセットはカラフルで魅力的ですが、注目ポイントを教えてください。

柚木家のセットにはいろいろなこだわりが詰まっていて。最初にセットに入った瞬間、四兄弟が口をそろえて「たぶん俺、ここで生活していた!」と親近感を持つことができたんです。そこは本当にスタッフの皆さんに感謝しかありません。

実は、家の中に飾ってある絵や文字などは、弟たちを演じる3人が書いたものなんです。写真も実際の4人の幼少期の写真が置いてあるなど、細部までこだわっています。完成した映像にどれぐらい映り込んでいるかはわかりませんが、そんなところにも注目していただけたらと思います。

――兄弟の絆、家族の絆というものを感じさせてくるドラマだと思いますが、今後の見どころを教えてください。

まさに“四兄弟の成長”が見どころとなっています。撮影を重ねるたびに僕たち4人の絆がリアルに強くなっていきましたし、お芝居の密度も濃くなっていったと感じています。

さらに面白いのは、弟たちの身長が撮影中に伸びているんです。大野くんはこの4か月で7センチも伸びたらしく、クランクイン前に合わせた衣装が、今はもう丈が短くなってしまいました。

そんな四兄弟の、体も心も、そしてお芝居も成長していく姿を、最後まで見ていただけたらうれしいです。

ふじわら・たいゆ
2003年生まれ、東京出身。2019年に俳優デビュー。NHKでは夜ドラ「おとなりに銀河」に出演。

夜ドラ「柚木さんちの四兄弟。」NHK公式サイトはこちら