スケボー好きの少年が、神社の管理人をしている老人“田中さん”と出会う
交流を深めていく中で、少年は田中さんの戦争体験を聞き……
小学6年生と81歳との友情を描く、ハートウォーミングな物語

第69回小学館児童出版文化賞を受賞した椰月美智子さんの同名小説を原作にした、特集ドラマ「昔はおれと同い年だった田中さんとの友情」の制作が決定しました。

脚本は、夜ドラ「あなたのブツが、ここに」、連続テレビ小説「ブギウギ」の櫻井剛さんが担当します。

主人公の拓人を演じるのは、NHK大阪制作の朝ドラに多数出演する、中須翔真さん。そして拓人と交流を深める81歳の“田中さん”を、岸部一徳さんが演じます。年の離れた2人の心温まる友情を軸にした、笑って泣けるドラマです。

【あらすじ】
小沢拓人(中須翔真)はスケボーが大好きな小学6年生。ある日、いつも遊んでいる公園がスケボー禁止となり、友人2人と近くの神社でスケボーをすることに。そこで、神社の管理人をしている81歳の田中喜市(岸部一徳)と出会う。田中は拓人のスケボーに興味を持ち、試しに乗ろうとしたところ、転んで右手を骨折してしまう。拓人の母親・尚美(木村多江)は、田中の右手のギプスが取れるまで、拓人たち3人で身の回りの世話をするように言う。
拓人たちが田中の部屋に通いだすと、聞き上手で優しい田中にひかれ、自然と仲よくなっていく。拓人は学校で起こったこと、身の回りのこと、日常の不満などを素直に話すことができた。ある日、拓人は田中の部屋で自分と同い年くらいの少年が写った写真を見つける。写真について拓人が田中に尋ねると、それは昔の自分の写真だと言い、当時この地域で空襲に見舞われたということを話し始める。田中の戦争体験を聞いた拓人たちは、学校である提案をすることに……。

【出演】

小沢拓人役・中須翔真

スケボーが好きな小学6年生。習っていたサッカーも塾も途中で辞めてしまい、中途半端な自分を気にしている。骨折した田中さんの世話をすることになり、田中さんとの交流を深めていく。

【中須翔真さんのコメント】
僕の演じる拓人は、友だちとスケボーで遊ぶのが好きで、勉強はちょっと苦手だけど、心の優しい“ええヤツ”です。拓人は世代の離れた田中さんと出会って少しずつ成長していきます。

僕も、このドラマでそんな拓人と出会って、自分も素直なええヤツでありたいと思いました。このドラマを見てくださった皆様が、拓人の成長を感じて、そして、戦争について改めて考えるきっかけになるように、心を込めて拓人を演じたいと思います。


田中喜市役・岸部一徳

神社で管理人をしている。拓人のスケボーに興味を持ち、乗ってみようとしたところ転んで骨折する。身の回りの世話をしに来た拓人たちを優しく迎える。

【岸部一徳さんのコメント】
「僕は戦争には反対です」
私がドラマで演じた田中喜市の心の叫びの言葉です。改めてその言葉の重さに気付かされました。戦争は過去だけのものではなく今も世界の何処かで続いています。

このドラマに登場する3人の少年は未来への希望かもしれません、そして3人の存在は今の大人たちの良心にも思えました。この作品に出会えた事を感謝します。


小沢尚美役・木村多江

拓人の母で、花屋で働いている。骨折した田中さんの世話をするように拓人に言う。

【木村多江さんのコメント】
原作も、このドラマの脚本も胸が温かくなって読むたびに泣いてしまうとても優しい物語です。

そんな温かい心を消し去るような、平和を破壊する悲しみがあってはならない。その思いを引き継いで、皆様と共有できたらと思っています。たくさんの方々に見ていただきたい作品です。


瀬下誠役・森永悠希

拓人のクラス担任の先生。ホームルームでクラスメイトにある提案をする拓人を見守る。

【森永悠希さんのコメント】
お話をいただいた時に、「きっと時代物で、戦時下のことを描くのだろうな」と思っていましたが、台本を読めば現代劇で、更に子供たちが中心の作品で……今までとは違う目線で戦争というものを扱った作品になると思いました。

子供たちのパワーに負けないように、少しでも力添えできたらいいなと思いながらお仕事できたら、と思います。幅広い世代に見ていただけましたら幸いです。


原作 椰月美智子さんのコメント

近所に小さな神社があります。境内に小屋があり、おじいさんが一人で住んでいましたが、いつのまにか姿を見なくなり、今では空き家になっています。おじいさんはどんな人だったんだろう、どんな生い立ちでここに住むようになったんだろう。そんな思いから田中さんが生まれました。

その田中さんが、まさかドラマに登場するなんて! 喜びでいっぱいです。原作とは少し設定が異なりますが、小説で伝えたかったことはしっかりとみ取って頂いております。

田中さんと拓人の友情、そして戦争の傷跡。見終わったあと、やさしい気持ちになってもらえるといいなあと思います。楽しみです!


脚本 櫻井剛さんのコメント

出来る事なら残酷で恐ろしい戦争については触れずにいたいと思いがちで、僕は考える事を先送りして、宿題にして引き出しの奥にずっとしまい込んでいる。でもこの原作には日々の何を大切にすれば戦争を回避する事が出来るのか、宿題のヒントが書かれてあった。

それはとても当たり前過ぎて、気付くまでに時間が掛かってしまったけど、考えて向き合って、なんとか脚本に起こす事が出来たと思う。日々と人を想うこと。言葉にすると退屈だけど、何より大切な想いが詰まった作品です。


音楽 小山絵里奈さんのコメント

私事ではありますが、地元大阪でスケボー少女期を過ごし、息子は登場人物の少年達と同年という事もあり、とても身近に感じた原作との出会いに感謝しています。

戦争は、過去のものでも、私達の日常と離れた場所にあるものでもなく、戦争とは、国を挙げ国民を巻き込み、後戻りできない世界へ人々を怒涛の如く流し込んでいく恐怖であることを。
戦争とは、多くの犠牲者を生む悲劇でしかないということを。

今、私達は伝えていかなければなりません。
戦争によって深く傷ついた魂が癒えること、決して過ちを繰り返さぬよう、この物語が音楽と共にみなさまのもとへ、届きますように。


特集ドラマ「昔はおれと同い年だった田中さんとの友情」 

2024年8月放送予定 

原作:椰月美智子 『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』
脚本:櫻井剛
音楽:小山絵里奈
出演:中須翔真、岸部一徳、木村多江、森永悠希ほか
制作統括:櫻井壮一
プロデューサー:鈴木航
演出:川野秀昭