6/22(日)からスタートするプレミアムドラマ「照子と瑠衣」で、夏木マリとダブル主演を務める風吹ジュン。
演じる照子は、穏やかな性格で平凡な日々を送る一方、モラハラ夫との暮らしに限界を感じていた。その苦しみから逃れるべく、親友の瑠衣と逃避行を決意する……。
照子役の風吹に本作の魅力や夏木との共演シーンの思い出などを聞いた。


照子にとって、瑠衣との逃避行は新しい自分に出会う旅

――今回、照子の人物像をどのように捉えて演じましたか。

このドラマは、見てくれる方たちに元気を与える作品だと思っています。照子は70歳を超えていますが、彼女と同年代の女性って、主婦として夫を支え、毎日家にいるという生き方をしてきた方が多いと思うんです。一方、現代の若い方たちは、共働きで夫婦平等といった関係を築いている方が多いですよね。

どちらかと言えば、照子は夫のためにずっと家に閉じこもっていたタイプなので、親友である瑠衣との逃避行は、照子にとって新しい自分に出会う旅なんだと思って演じました。

――演じる中で、照子の生き方に共感する部分はありましたか。

共感できるところはたくさんありましたね。私も主婦を経験していますし、その時に夫を立てなければいけない、さらには夫の周りにいる人たちも立てなければならない経験をしました。それまで自分が生きてきた世界とは違う世界に身を置いたことで、閉塞的な空間で生きてきた照子の感覚は理解できました。

でも、今は時代の変化とともに、人の考え方や価値観も成長していると思います。「本当に自分はこの生き方でいいのか」と悩んでいる方たちにとっては、このドラマを見て「勇気を持って一歩を踏み出し、違う楽しみや新しい自分を発見しよう」と思ってもらえたらうれしいですね。

――その意味でも、特に照子や瑠衣と同年代の方たちに本作を見てほしいですか。

そうですね、きっと共感できるところがたくさんあるのではないかと。実際、今回のドラマでは、私も含め同年代の方が演じているので、それぞれの年齢なりの経験や知恵、包容力がにじみ出ていると思うんです。だからこそ、安心感を持ってドラマを見ていただけると感じています。


照子と瑠衣は、愛情や友情を素直に表現できる素敵な関係です

――照子にとって、親友の瑠衣はどのような存在だと感じましたか。

瑠衣を見ていると本当にかっこいいんですよ。照子にとって瑠衣は憧れの存在。瑠衣がいたおかげで照子は心を解放することができたし、成長することができたんですよね。
実際、瑠衣役の(夏木)マリさんがものすごくかっこよくて。ご自身で心がけているのかわからないんですけど、たたずまいや座り方ひとつにしてもとてもおしゃれなんです。それを撮影現場で毎回見られたことも楽しかったですね。

――照子と瑠衣の関係性の魅力は、どんなところだと思いますか。

もちろんお互いの信頼関係も素敵すてきですが、2人ともすごく自由なんですよね。「すべてOK!」と相手のことを何でも受け入れている。
例えば、瑠衣から突然「バカ照子ちゃん」と言われても、「はい、バカです、バカです(笑)」と、照子はそれを幸せだなと感じてしまう。腹を立てるわけではなく、その言葉の裏には、かわいらしさやいとしさといった思いが込められていることを2人ともわかっているんですよね。

言葉で何か物事を捉えるのではなく、相手のことを深く理解したうえで判断しているんです。照子と瑠衣の女性らしい感性や柔軟さ、距離感もすごくいいなと感じていて、互いをリスペクトしながら、愛情や友情を素直に表現できる素敵な関係だと思います。


夏木さんは、正面からぶつかっていけば受け止めてくれる安心感がありました

――瑠衣役の夏木マリさんと共演されていかがでしたか。

今回撮影に入る前は、マリさんの存在の大きさから、私の力では及ばないんじゃないかなと迷いもあったんです。でも、実際会うと、マリさんの人柄はもちろん、同じ時代に同じものを見てきた同世代だからこそのシンパシーを感じて、どんどん好きになっていきました。
お芝居においても、とにかく照子は瑠衣のことが大好きなんだという気持ちを表現したいと思っていて。マリさんは私が背中にぎゅって抱きついてもやさしく受け入れてくださる心の広さを持った方なので、演技においても正面からぶつかっていけば受け止めてくれるという安心感がありましたね。

――劇中で出てくる歌も1つのテーマになっているかと思います。第1回の「夢で逢えたら」のシーンはいかがでしたか。

実は、1976年に「夢で逢えたら」をリリースした吉田美奈子さんは、私の親友なんです。なので、とても感慨深かったですし、今回は劇中でマリさんが歌っていて、改めていい曲だなと感じました。
マリさん自身も若いころにいちばんカバーしたかった曲らしくて。「夢で逢えたら」は私たちの世代だけではなく、どの世代にも響くと思うので、この素敵なシーンを見逃さないでほしいですね。

――ドラマをご覧になる視聴者の方にメッセージをお願いします。

大変かもしれませんが、照子と瑠衣の会話をぜひ聞き逃さないでほしいなと思います(笑)。何でもない2人のやりとりなんですけど、実はこれがすごく大事なことでもあったり……。私自身も思いを言葉にするって大切なんだなと、照子を演じてつくづく実感しました。
照子は、瑠衣にどんなに背を向けられても一生懸命声をかけるし、自分の思いを諦めることは絶対にしないので、「照子、よくやった!」と思うことが多かったです(笑)。

視聴者の皆さんにも、照子のように自分を信じて生きていってほしいですし、これから自分がどうしたいのかというヒントを、このドラマを通して見つけてもらえたらうれしいなと思います。

【プロフィール】
ふぶき・じゅん

1952年生まれ、富山県出身。1975年に俳優デビュー。映画やドラマ、舞台で活躍し、91年には『無能の人』で日本アカデミー賞助演女優賞を受賞。NHKでは大河ドラマ「風林火山」「八重の桜」、連続テレビ小説「ほんまもん」「あさが来た」「半分、青い。」などに出演。

プレミアムドラマ「照子と瑠衣」(全8回)※予定

6月22日(日)スタート
毎週日曜 NHK BS/BSP4K 午後10:00~10:45

【第1回あらすじ】
照子(風吹ジュン)は、親友・瑠衣(夏木マリ)を助手席に乗せドライブに出る。はたからは70代女子の楽しげな旅行に見えたが、実は決意の逃避行。アパートを追い出された瑠衣から「助けて」と電話をもらった照子は、モラハラ夫(大和田伸也)との暮らしに見切りをつけ自らも荷物をまとめて家を出たのだった。それぞれの事情を抱えつつも、二人は八ヶ岳の別荘地で素性を隠してこっそり暮らし始める。

原作:『照子と瑠衣』井上荒野
脚本・ディレクター:大九明子(「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』ほか)
脚本:フルタジュン(1話~3話共著)
出演:風吹ジュン、夏木マリ/福地桃子、三浦獠太、藤堂日向、岡野陽一/安齋肇、山口智充、由紀さおり、大和田伸也
制作統括:阿利極(AX-ON)、遠藤理史(NHK)
プロデューサー:古賀俊輔(ザフール)、長坂淳子(ザフール)
企画プロデューサー:大田貴史(AX-ON)