6/22(日)からスタートしたプレミアムドラマ「照子と瑠衣」で、風吹ジュンとダブル主演を務める夏木マリ。
演じるシャンソン歌手の瑠衣は、長年住んでいたアパートを追い出され、親友の照子に「助けて」と電話をかける。しかし、救いを求めていたのは照子も同じだった。この電話をきっかけに再会した照子と瑠衣の逃避行が始まる……。
瑠衣役の夏木にドラマの見どころや風吹との撮影エピソードなどを聞いた。


照子と再会して、瑠衣は人生をもう一度やり直そうと思えた

――今回、瑠衣の人物像をどのように捉えて演じましたか。

瑠衣は好きなことをずっと貫いてきた女性なのですが、過去のある出来事が足かせになっていて、どうしても素直に生きられないところがある。そして、好きな歌も諦めきれないという切なさもあります。
そんな中で、照子という親友と再会したことで、瑠衣は人生をもう一度やり直そうという気持ちを持つことができたんですよね。

――演じてみて、瑠衣の生き方に共感する部分はありましたか。

売れないシャンソン歌手である瑠衣は、きっと時代的にもバブルを経験した世代。割と私の等身大なんですよね。だから、逆にやりづらい部分もあって(笑)。その分、照子との対比を考えながら演じたつもりです。
私は、その役を好きにならなければ演じることができないんですけど、瑠衣の生き方がわかるので、比較的早く瑠衣のことを好きになれた気がします。

――“かっこいい瑠衣”を演じるうえで心がけたことはありますか。

演技に関しては、あくまで自然体でいることを心がけました。あと、衣装には少しこだわりましたね。今回、瑠衣の衣装は自前で用意させていただいたんです。例えば、貯金が3万円しかない瑠衣は、どんな衣装なら身の丈に合うのか考えて、寒い山の中に行っても暖かい格好をするのではなく重ね着で寒さをしのいだり、昔のバブリーなときに買ったと思われるコートをずーっと着たりしました。

また、瑠衣が色にこだわっている一面がかい見えるシーンもあったので、自分のクローゼットを見たら赤が多かったこともあり、今回は赤を基調とした衣装をコーディネートさせていただきました。


照子を応援するつもりだった瑠衣は、逆に照子から元気をもらっていたんです

――瑠衣にとって、親友の照子はどのような存在だと感じましたか。

照子は、瑠衣にとってのよりどころになっていたと思います。瑠衣自身も照子がどんな人生を歩んできたかを知っているので、最初は照子を応援しようというつもりだったけれど、知らないうちに瑠衣が照子から元気をもらっていたんですよね。
特に、老いてくると、生きていく中で人の助けが必要になりますよね。1人では生きられないということを実感しつつあった瑠衣にとっては、ちょうどいいタイミングで照子と再会することができたのかもしれません。

――照子と瑠衣の関係性の魅力は、どんなところだと思いますか。

2人の距離感が、素晴すばらしいパートナーの関係を築いていると思います。瑠衣にはない面を照子は持っているし、助けられていることがたくさんありますからね。
友達でも長く一緒にいると、ちょっと疲れたりすることもあると思いますが、瑠衣は照子のことをわずらわしいとは一切思っていないわけですから、2人でいる時間はとてもハッピーだったと思います。


風吹さんは、とても聡明で、エネルギーを持った素敵な方です

――照子役の風吹ジュンさんと共演されていかがでしたか。

長い撮影期間をご一緒させていただいて、風吹さんは人間的に品格のある方だなと思いました。すごく居心地がよかったんですよね。
一方で、風吹ジュンという役者像を作り上げているなかなかのプロデューサーでもあるなとも感じました(笑)。私自身もプロデュースすることが好きなんですけど、今回の共演を通して、私以上に聡明そうめいでエネルギーを持った素敵すてきな方なんだなと思いました。

――劇中で出てくる歌も1つのテーマになっているかと思います。歌のシーンはどのような思いで演じましたか。

どの歌を採用するかは、音楽監督と一緒に選ばせていただいたのですが、今回はシャンソン歌手としてのレパートリーを歌うわけではないので難易度は高かったです(苦笑)。
劇中では、照子や瑠衣の心情が反映されている歌が多く登場しているので、彼女たちの置かれた状況や歌詞のメッセージ性を考えながら演じました。

――ドラマをご覧になる視聴者の方にメッセージをお願いします。

70を超えると世の中的には老年と言うらしくて。“人生百年”と言われる現代においては、老年の時間が長くなっていますね。その中で、もう一度自分らしい生き方を見つけようとするのが照子と瑠衣です。

男女の愛ではないし、家族でもないけれど、1人では決してできなかったことが2人の友情によって前を向く後押しになっていく物語となっています。
年齢は関係なく、何か行動することで出会いや発見がある――それによってこの先の人生も豊かになっていくんだよということを、このドラマを通じてたくさんの方に感じてもらえたら幸いです。

【プロフィール】
なつき・まり

東京出身。1973年に歌手デビュー。その後、演劇にも活躍の場を広げ、舞台「印象派」の演出などを手がけるほか、数々の作品にも出演。NHKでは大河ドラマ「義経」、連続テレビ小説「ひまわり」「カーネーション」「おかえりモネ」などに出演。

プレミアムドラマ「照子と瑠衣」(全8回)※予定

6月22日(日)スタート
毎週日曜 NHK BS/BSP4K 午後10:00~10:45

【第1回あらすじ】
照子(風吹ジュン)は、親友・瑠衣(夏木マリ)を助手席に乗せドライブに出る。はたからは70代女子の楽しげな旅行に見えたが、実は決意の逃避行。アパートを追い出された瑠衣から「助けて」と電話をもらった照子は、モラハラ夫(大和田伸也)との暮らしに見切りをつけ自らも荷物をまとめて家を出たのだった。それぞれの事情を抱えつつも、2人は八ヶ岳の別荘地で素性を隠してこっそり暮らし始める。

原作:『照子と瑠衣』井上荒野
脚本・ディレクター:大九明子(「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』ほか)
脚本:フルタジュン(1話~3話共著)
出演:風吹ジュン、夏木マリ/福地桃子、久保田紗友、光宗薫、三浦獠太、藤堂日向、藤﨑ゆみあ、岡野陽一、安齋肇 / 山口智充、萩原聖人、筒井真理子/松雪泰子、由紀さおり、大和田伸也
制作統括:阿利極(AX-ON)、遠藤理史(NHK)
プロデューサー:古賀俊輔(ザフール)、長坂淳子(ザフール)
企画プロデューサー:大田貴史(AX-ON)

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