ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、つたじゅう三郎ざぶろう役の横浜流星さん、てい役の橋本愛さんから!


横浜流星さんの第25回振り返り

——今回、ていと祝言を挙げる急展開を迎えました。

実は、橋本さんは、このシーンからクランクインだったんです。ふたりで会話するシーンを全く撮っていなくて、これから関係を作っていくところなのに、いきなり婚礼の席にいて大変だったと思います。

でも、ていさんは日本橋の大店おおだなでずっと仕事をしていた方なので、彼女の言葉には蔦重も教えてもらうことがたくさんあります。そこからまたひとつ商売人として、ひとりの男としても大きくなっていくと思うので、それをすごく楽しみにしています。

——つたじゅうにとって日本橋への進出は、どのような意味を持つのでしょうか?

2つあると思います。ひとつは単純に、より多くの人々に、面白い本や絵を届けたいという自分の欲。もうひとつは、忘八ぼうはちおや様たちを含めた吉原の人々への思いです。何かというと「やっぱり吉原者は」と言われてきて、四民の外にされてきました。そんな人間が日本橋に出られたら、きっと世の中は変わる。そういう思いがあって、「日本橋に出よう」と考えたのでしょう。

今はまだ日本橋のシーンをバラバラで撮っている状態なので、ふわふわした感じではありますが、蔦重も耕書堂もこれから新しいフェーズに入って、大きく変わっていくと思います。


橋本愛さんの第25回振り返り

——商いのためという前提ではありますが、ていが蔦重と祝言を挙げました。最初は拒絶した蔦重を認めた理由は何だったのでしょう?

蔦重さんにはかなわない、と思ったからだと思います。灰が降った後、あんなに敵対していた鶴屋(風間俊介)さんまで巻き込んで、町のみんなが笑顔になれるように行動する。誰も思い浮かばないような発想で……。

ていの中には「自分にも力があれば、大事な家も、店も守ることができたのに」という思いがあって、蔦重さんに対して嫉妬や憧れのような感情を抱いたと思います。でも、黒い気持ちにとどまることなく、人としてどんどんかれていったんでしょうね。

——その過程をお芝居で表現するときには、演出側とも相談をしながら?

蔦重さんがていに「陶朱公とうしゅこうの女房になりません?」と2回目のプロポーズをするシーンがあるのですが、本読みの際に大原(拓)監督が「ここは蔦重は50パーセントくらい好きで、ていは80パーセントくらいで」みたいなことをおっしゃって……(笑)。

監督さんたちの間では、どういう関係性を見せたいかが明確になっているようでした。大原さんの演出ではよく「こういう構造でお願いします」と言われるんです。そうやって客観的な視点を渡されたあとに、内面を自分で埋めていくというやり取りをしています。

大原さんが横浜さんに「蔦重は鈍いから、ていのことをどれだけ好きか気づいてないけど、50パーセントということは、無意識下では80パーセントくらいだから」と説明されていたのが印象的でした。鈍い人を演じるのも大変だろうなと思いました(笑)。

——今後、蔦重と暮らすなかで、ていが変わっていく予感みたいなものはありますか?

根幹は変わらないと思いますけど、どんどんほぐれていく部分はあるのかなと思いますし、明らかに蔦重さんとの関係性は変わっていくだろうな、と思います。お互いがどう影響しあって、どう変化していくのか、私自身も楽しみです。

今の課題は、ていはどこでどんなふうに笑うのかな? ということです。今もほほみそうになるのをぐっと我慢しているので、笑える日を楽しみにしています。もしかしたら、ずっと笑わないかもしれないけれど(笑)。