「アニソン・アカデミー」生徒会長(番組MC)の“しょこたん”こと中川翔子による連載コラム。今回は、講師(ゲスト)のみなさんによる感動に満ちたスタジオライブや、印象に残る言葉について語ります。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、「アニソン・アカデミー」ではスタジオライブも一時期お休みしていました。でも今はソーシャルディスタンスに配慮しながら、復活しています。

「アニ・アカ」を生放送している505スタジオはとても広い所なんですけれど、私、あべし*、講師(ゲスト)のテーブルが巨大なアクリル板で仕切られていて。お招きする講師のみなさんの喉とか肺とか、いちばん大事なので、スタッフと一緒にソーシャルディスタンスにはいつも気をつけて、番組に臨んでいます。

やっぱり「アニ・アカ」の魅力って、“生で歌を聴ける”というのが、すごく大きいと思うんですよ。私とあべしは目の前で生歌を聴けているけれど、ラジオ越しでも、生で歌ってくださる尊さは同じように感じていただけていると思っています。そして、このスタジオライブで、私はよく泣いているんです。いろんなことに感動して。

以前、ダ・カーポのお二人がスタジオに来てくださって、アニメ「名探偵ホームズ」の主題歌の「空からこぼれたStory」を歌われたんです。

このときはヤバかった! 号泣の号泣でした。ご夫婦で歌っていらっしゃるのですが、そのころ旦那様の榊原まさとしさんが腰を痛めていた時期で、立ち上がって歌うときに奥様の広子さんがそれを支えて。

そして「スタンバイよろしいでしょうか」と声をおかけしたとき、まさとしさんの肩に付いていた糸くずを広子さんがさりげなく取ったんですよ。それを見て、涙があふれてしまいました。その夫婦愛や絆、改めて言葉にするまでもないお二人の関係性が、ライブの歌声にすごく乗っていて、もう号泣でしたね。

そんな人生の深いところを聴かせていただいたり、ふだんはなかなかお会いできない方に会えたりというのは、とても尊いことだと思っています。

歌手の方だけじゃなくて、作曲家の渡辺ちゅうめい先生や、すぎやまこういち先生、田中公平先生もお見えになって、楽曲の作り方や秘密を教えてくださるんです。

宙明先生はことし94歳なんですけど何度も来てくださって、「『宇宙刑事ギャバン』の曲ができたのは、木曜日の夕方で」みたいな話を聞かせてくれました。曜日まで覚えているって、すごいですよね。

すぎやま先生は「『ドラゴンクエスト』の序曲は5分でできたけれど、それまでの人生54年があって初めて生まれたから“54年と5分でできた曲”」とおっしゃって。すごい名言だな、って思いました。

「アニ・アカ」には、そんな感動がいっぱい。これからも、それを残さずお伝えしていきたいと思っています。

あべし…「アニソン・アカデミー」生徒会書記を務める、放送作家、シンガーソングライターのあべあきら。

5月5日生まれ、東京出身。2004年に開設した公式ブログ「しょこたん☆ぶろぐ」が大評判となり、アニメ・漫画・特撮・カンフーなどの豊富な知識で大きな話題を集める。2006年に歌手デビューして、翌年「空色デイズ」で「第58回NHK紅白歌合戦」に出場。俳優としてのNHKドラマ出演は、連続テレビ小説「まれ」、ドラマ10「デイジー・ラック」ほか。2011年公開のディズニー映画「塔の上のラプンツェル」(日本語吹替版)では、主人公・ラプンツェルの声を担当。4月には中国・上海での音楽ライブ出演、5月には毎年恒例のバースデーライブ開催も決定している。

(NHKウイークリーステラ 2020年9月4日号より)