放送9年目を迎えても毎回、新鮮な気持ちでの画像
「アニソン・アカデミー」生徒会長(番組MC)の“しょこたん”こと中川翔子さんによる連載コラム。今回は、スタッフとの信頼関係の中で生まれた、番組の企画などについて語ります。

2021年4月で「アニソン・アカデミー」は、放送9年目に突入! 丸8年担当して、長めの番組になってきたと思うのですが、それだけの期間やっている感じがしなくて、毎週、新鮮な気持ちで生放送に臨んでいます。

「アニソンというジャンルは最高だ!」と叫び続けてきたけれど、まだまだ愛を叫び足りてないし、地球上のすべてのアニソンを流すまで終われないくらいの野望を勝手に持っているので。お仕事なんだけど、私にとってオアシスというか、どんなに忙しいときでも「実家に帰って回復する」みたいな存在で、いつも楽しんでいます。

私の暴走スイッチが入ってワーッとしゃべり倒しても、あべし*1が横でニコニコして聞いてくれたり、私が放送中に思いついたことをスタッフが企画として実現させてくれたり。9年目の信頼感というか、生放送で何があっても大丈夫という安心感がありますね。

先日放送した「ワンフレーズえアニソン特集」も、そう。私は昔から、「このアニソンの歌詞の、『あ』の歌い方が好き」とか「2番の『るぅ』って言い回しに興奮する」とか、ひとりで頭の中で考えていました。

それを「アニアカ」で言えるようになって、すごく幸せだったんです。そして放送の中で話しているうちに、急に「1文字に萌える曲を募集したい!」って言ったら、スタッフが番組の企画として立ち上げてくれて。最初は「私はそう思っていても、ニュアンスが伝わるのかな?」と心配だったけれど、リスナーさんも反応してくれて、そのときからメールが届き始めたんですよ。

結局、リスナー投票で「ブルー・レイン*2」がランキング1位になったんだけど、納得の選曲でしたね。この人たちが、この時代に、こういう歌い方をしたから名曲になったんだという味わいが感じられる。

だから飽きずに何度も聴いていられて、それもアニソンの魅力だと思うんですよ。なぜ魅力的なのかを私は苦労しながらおしゃべりで伝えようとするんだけど、リスナーの皆さんが論理的でわかりやすい、すばらしい文章で解説してくれて、「そう、そういうことなんですよ!」って、すごい以心伝心感がありました。

ほかにも、作品に登場する悪役たちの視点で歌われた「悪ソン」を特集してみたり、特撮ソングやゲームソングもいいんじゃね?って感じで曲を流したりして。

「アニアカ」だからこそ対応できる、ほかに代わりがきく番組じゃなくなっているんですよね、もはや。リスナーの皆さんにも、そう思ってもらえていたら、とてもうれしいです。

*1…「アニソン・アカデミー」書記を務める、放送作家・シンガーソングライターのあべあきら。
*2…1983年から翌年までフジテレビ系で放送された、アニメ「機甲創世記モスピーダ」のエンディング曲(作詞:売野雅勇、作曲:タケカワユキヒデ、編曲:久石譲)。アンディ小山と松木美音が歌った。

(NHKウイークリーステラ 2021年4月16日号より)

5月5日生まれ、東京出身。2004年に開設した公式ブログ「しょこたん☆ぶろぐ」が大評判となり、アニメ・漫画・特撮・カンフーなどの豊富な知識で大きな話題を集める。2006年に歌手デビューして、翌年「空色デイズ」で「第58回NHK紅白歌合戦」に出場。俳優としてのNHKドラマ出演は、連続テレビ小説「まれ」、ドラマ10「デイジー・ラック」ほか。2011年公開のディズニー映画「塔の上のラプンツェル」(日本語吹替版)では、主人公・ラプンツェルの声を担当。4月には中国・上海での音楽ライブ出演、5月には毎年恒例のバースデーライブ開催も決定している。