今回はモミジに包まれた古刹、西山の善峯寺を訪ねます。徳川三代将軍家光の側室で五代将軍綱吉の生母・桂昌院が、応仁の乱で大半が焼失した伽藍の再建に尽力、本堂をはじめ桂昌院ゆかりの堂宇が点在しています。
JR向日町駅、阪急東向日駅からバスで30分ほど。バスを降りて近道を選んだら急な坂道。でも、紅葉の木漏れ日を受け、眼下に京都の街が見えるのもいい感じでした。
一般の駐車場に出て紅葉越しに見る山門(楼門)はベストアングルのひとつ。 羽ばたくような屋根、それを支えるリズミカルな木組みも絵になります。楼下の金剛力士像は運慶作で源頼朝の寄進と伝わります。
山門を入ると正面に観音堂(本堂)。開山は約1000年前で、本尊・脇本尊の千手観音は人々に崇敬されてきました。朱印・御守はここで授与されます。有名なのが「おちないお守り」。阪神・淡路大震災の際、損壊した高速道路から前輪が落ちながらも奇跡的に止まったバス、その運転手が持っていたとのこと。
善峯寺は天台宗の寺ですが、開祖である伝教大師と交流があった弘法大師の像が観音堂の右側に立っています。失礼して、笠をかぶった像を下から仰いで紅葉と空をバックに1枚、撮らせてもらいました。
順路に従って石段を上ると国の天然記念物「遊龍の松」があります。樹齢600年以上で全長37メートル、横へ横へと伸びた松はまさに龍のよう。私のカメラでは全体が納まりませんでしたが、松くい虫の被害に遭うまでは50メートルあったそうです。すごい!
崖沿いに清水寺の舞台のように建つお堂に幸福地蔵の姿。左に目をやると紅葉に囲まれた石段がありました。誰もいなくなる瞬間を待ちましたが果たせずシャッターを押し、石段の途中でもう1枚。おっと、今度は私が後ろの人たちの邪魔になっていました。
境内は「わ〜キレイ!」という声があふれていました。広い境内、見どころも話題も多くてとても書き切れません。そうそう、坂と石段が多いので歩きやすい靴でどうぞ。
* 紅葉の見頃、寺院の公開状況などは、事前にご確認ください。バスは本数が少ないので、寺のホームページの「交通・アクセス」を参照してください。
*中村アンカーが善峯寺で撮影した写真をステラnetに掲載中です。
(なかむら・ひろし 第2金曜担当)
この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2023年10月号に掲載されたものです。
最新のエッセーは月刊誌『ラジオ深夜便』12月号でご覧いただけます。
購入・定期購読はこちら
10月号のおすすめ記事👇
▼大江裕が語る師匠・北島三郎
▼90歳を超えても現役でいたい!中村梅雀
▼俺は漁師でピアニスト!
▼全盲のヨットマン・岩本光弘 ほか