8月最終日の「季刊深夜便」は去年に引き続き「魅惑のミッドナイト・ヒットパレード」。

今回のテーマは「深夜放送」。ゲストは前回に引き続き作詞家のうりまささん、そして「オールナイトニッポン(注)」初代パーソナリティーの一人、齋藤やすひろ、通称・アンコーさん(83歳)。昭和42年の番組開始当時、売野さんは高2、私は高1、まさにアンコーさんの放送で育った少年でした。
(注)1967年10月スタート、現在も続くニッポン放送の深夜番組。

番組には前回にも増して初投稿のリスナーからのお便り、メールが多く、「〝英語の勉強をするから〞と言ってテープレコーダーを買ってもらい録音した」(私もそのクチです )、「電波の入りのよいところを求め、ラジオを持って部屋の中をウロウロした」、中には「深夜放送に熱中して一浪した」等々。

売野さんは「家のあちこちにラジオを置いて風呂場でも聞いていた」そうです。当時は「ラジオネーム」という考えはなく投稿は本名、読まれた翌日はクラスで評判になるという時代でした。

左から売野さん、私、アンコーさん。

今回多かったお便りは、やはりアンコーさんに関する思い出でした。毎週1万通を超えるはがき全てに目を通し、ちょっと年上の兄貴として、時に優しく、時には厳しくリスナーを巻き込んでいく。売野さんは「アンコーさんの放送は粋だった」と言います。弱冠26歳でなぜばってきされたか上司に聞くと、「明るいから」が理由だったそうですが、その明るさは受験勉強の息抜きになったのでしょう (私は息を抜きっぱなしでしたが……)。今回の放送後もアンコーさんには当時のリスナーからメールが届く、半世紀を超えるおつきあいなんですねぇ。

そして驚いたのはそのバイタリティー、2時間を超える収録も何のその、そして「日本のフォークもいいですよ、今度はそれでいきましょう。あっ、ちょうど神田のフォーク酒場が開いたころ、行ってきます!」と夕暮れの街に飛び出していくのでした。

(とくだ・あきら 第1・3・5日曜担当)

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