夏になると、どうしても食べたくなるのがかき氷。最近のかき氷は、フルーツやアイスクリームが添えられて、 〝氷アラモード〞とでも呼びたくなるおしゃれなものが増えました。 「インスタ映えする」と、お店も競争してアレンジに工夫を
凝らしているようです。

でも私がイメージするかき氷は、子どものころから食べてきた氷いちごや氷メロン、氷あずきに氷ミルク、といった昔ながらのかき氷。夏になると白地に青い波の模様、赤で「氷」 と書かれた旗のある店で、よく食べたものです。時代とともに、氷の食感がガリガリからフワフワになり、氷あずきに練乳がかかったのが出てきたり。お小遣いの懐具合と相談しながら決めたのも、懐かしい思い出です。

思い出といえば、学生時代、山盛りのかき氷を食べさせてくれるおばちゃんの店で、「氷サイケ」というのを食べたことがあります。赤・黄・緑・青といった色とりどりのシロップがかかったかき氷を見たときはびっくり! 当時「サイケデリック」という言葉が流行していたので作ってみたのでしょう。二度と見たことがない幻のかき氷です。

最近びっくりしたのはその値段……。たまたま入ったお店で値段を見て、目が点になりました。なんと3980円、安いものでも2650円……。試しにいちばん安い氷ミルク的なものを注文。想像を膨らませながら待つと、ドーム型にしたフワフワの氷にバニラ味の練乳がかかったものが登場。派手さはありませんが、素材を厳選し、手作りのものを使っているとか。確かに口の中でスーッと溶け、後味が爽やかでおいしいものでした。

とはいえ、この値段でお客様が来るのかしら⋯⋯と思っていたら、なんとお店の外まで並んでいるではないですか! インスタ映えするものではなくても、こだわりの一品は人気が出るというか、グルメの時代なのだなと感心しました。ひと夏のプチぜいたくと思えば、いい思い出になりそうですね。

心残りは、そこまで凝ったかき氷をなぜ作ろうと思ったのか聞かなかったこと。残念!

(すま・かつえ 第2・4火曜担当)

※この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2023年8月号に掲載されたものです。
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