日本初の女性弁護士で後に裁判官となった一人の女性。
彼女とその仲間たちは困難な時代に道なき道を切り開き、迷える子どもや追いつめられた女性たちを救っていく――情熱あふれる法曹たちの物語を極上のリーガルエンターテインメントとして贈る。


連続テレビ小説第110作『虎に翼』のモデルは、日本初の女性弁護士・三淵嘉子(みぶちよしこ)さん。
日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ一人の女性の実話に基づく骨太なストーリーを追いながら事件や裁判が見事に解決されていく爽快感を一緒に味わえる毎日次回が気になる連続テレビ小説です。

三淵嘉子さん(1914-1984)は、明治大学専門部女子部法科で学び、昭和13年(1938)に高等文官試験司法科に合格、日本で初めての女性弁護士の一人となります。戦後は、それまで女性への門戸が閉ざされていた裁判官への任官を目指し、裁判官採用願を司法省に提出。すぐには採用されず司法省で民法の改正と家庭裁判所の設立に携わります。そして昭和 24 年(1949)に裁判官となり、後には女性として初めての裁判所長も務めました。

※実在の人物である三淵嘉子さんをモデルとしますが、激動の時代を生きた一人の女性法曹とその仲間たちの波乱万丈の物語として大胆に再構成します。登場人物名や団体名などは一部改称して、フィクションとして描きます。原作はありません。


主演:伊藤沙莉
猪爪 寅子(いのつめ ともこ)役

<プロフィール>
1994年千葉県出身。役への深い洞察力に裏打ちされた演技力は、シリアスなドラマからコメディにおいても評価され、ドラマ、映画、舞台にと活躍。ギャラクシー賞テレビ部門個人賞、ブルーリボン賞助演女優賞、山路ふみ子女優賞、文化庁芸術祭放送個人賞など受賞歴多数。近年の主な出演作に、映画『ちょっと思い出しただけ』、『月の満ち欠け』、ドラマ「ミステリと言う勿れ」(フジテレビ)、「拾われた男」「ももさんと7人のパパゲーノ」(NHK)、「キッチン革命」(テレビ朝日)、舞台『首切り王子と愚かな女』、『世界は笑う』など。連続テレビ小説への出演は、2017年の「ひよっこ」以来二回目。


<役柄> 猪爪寅子
大正3年(1914)五黄(ごおう)の寅年に生まれ、寅子(ともこ)と名付けられる。女学校の卒業を迎えた年、お見合い結婚を勧める母親を振り切って、女性に法律を教える日本で唯一の学校への入学を決意。そこで出会った仲間たちと切磋琢磨し、やがて日本初の女性弁護士となる。世間知らずで自信家の所もあるが、全てに全力の人。弁護士として、裁判官として、一歩ずつ成長していく。あだ名は“トラコ”。


作者:吉田恵里香(よしだえりか)

<プロフィール>
1987年生まれ。2022年によるドラ『恋せぬふたり』で第40回向田邦子賞を受賞。
これまでの執筆作に、ドラマ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』『30 歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』『ブラックシンデレラ』『君の花になる』『Heaven?〜ご苦楽レストラン〜』、映画『ヒロイン失格』『センセイ君主』『ホリック xxxHOLiC』『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』、アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』『TIGER&BUNNY』『なむあみだ仏っ!~蓮台~』『ルパン三世』など。小説『脳漿炸裂ガール』シリーズは累計発行部数 70 万部を突破するなど、映画、テレビドラマ、アニメ、舞台、小説等、ジャンルを問わず多岐にわたる執筆活動を展開している。

ステラnetでは、「脚本家・吉田恵里香の『グッときた日記』」を連載中!


タイトル「虎に翼 」(とらにつばさ)とは

中国の法家『韓非子』の言葉で、「鬼に金棒」と同じく「強い上にもさらに強さが加わる」という意味があります。五黄(ごおう)の寅年生まれで“トラママ”と呼ばれたというモデルの三淵嘉子さんにちなみ、主人公の名前は寅子(ともこ)で、あだ名は“トラコ”です。

法律という翼を得て力強く羽ばたいていく寅子が、その強大な力にとまどい時には悩みながら、弱き人々のために自らの翼を正しく使えるよう、一歩ずつ成長していく姿をイメージしています。


◆物語

昭和4年(1929)、日本初の女性専門に法律を教える学校ができます。そこへ集ったのは、当時の日本のどこにも収まれない、溢れ出す何かを抱えた女性たちでした。この物語の主人公・猪爪寅子も、そんな収まれない女性。周囲から“魔女部”と陰口を叩かれた女性だけの学び舎で、彼女たちは自らの道を切り開くため法律を学んでいきます。

昭和13年(1938)、卒業生から日本初の女性弁護士が誕生します。寅子もその一人として日本中から注目され憧れの的になります。しかし弁護士として意気揚々と世に出た彼女たちを待ち受けていたのは、戦争へと突き進んでいく日本でした。法学という社会に羽ばたく翼を得たはずが、それを使える場は急速に消えてしまいます。

昭和20年(1945)、焼け野原に立つ寅子は全てを失っていました。明日生きるため頼れるのは、かつて学んだ法律だけ。彼女は裁判官になることを決意。戦争で親を亡くした子どもや苦境に立たされた女性たちのため、家庭裁判所の設立に奔走することになります。

そして、寅子はついに裁判官になります。彼女とその仲間たちは、政治でも経済でも解決できない、追いつめられた人々の半径5メートルの世界を見つめ、その苦境から救うため情熱をもって向き合っていきます。


◆制作にあたって 制作統括・尾崎裕和

つい最近なのですが、初めて裁判の傍聴というものに行って、私はとても感動してしまいました。世の中には私たちの知らない無数の事件があり、その一件一件で弁護士が検事が裁判官が、懸命に職責を果たしている姿を見たからです。「法の目的は平和であり、その手段は闘争である」という言葉があります。ただ法律があるだけで平和は達成されることはなく、人々が必死で“闘う”ことでそれは実現する。脚本という書かれた物語を俳優が演じることで、初めて感動を与えられるテレビドラマとなんだかよく似ているような気がしました。

「虎に翼」の作者の吉田恵里香さんは、よるドラ「恋せぬふたり」を執筆いただいた、私が最も信頼する脚本家です。そして、主演の伊藤沙莉さんは「ももさんと7人のパパゲーノ」で主人公を演じていただき、ずっとこの人を見ていたいという気持ちにさせてくれた俳優です。そんな二人の戦友と再び一緒に“闘える”ことがとても心強く、嬉しい気持ちでいっぱいです。

たくさんの初めてに立ち向かい闘った三淵嘉子さんに恥じないドラマを、今ここで理想のために闘う勇気が持てるようなドラマを、半年間、精一杯お届けできればと思っています。


◆2024年度前期 連続テレビ小説『虎に翼』
【放送予定】2024年春
【制作スケジュール】2023年秋 クランクイン予定
【作】吉田恵里香
【スタッフ】制作統括:尾崎裕和 プロデューサー:石澤かおる 取材:清永聡 演出:梛川善郎 安藤大佑 橋本万葉 ほか