22の島を訪ねた『離島の本屋』から7年後。消えかけた本屋の灯りを再びともした島民、島のつらい歴史を伝える本を売り続ける心意気、閉じる決断をした本屋たちとの出会いなどを描く。

島の本屋をめぐる、2013年出版のルポルータジュの続編です。今回、朴さんは佐渡島や伊豆大島、種子島、屋久島、沖縄本島などを訪問。前作で取り上げた本屋のその後も紹介しているので、前作の読者は気になるのではないでしょうか。

例えば、鹿児島県・喜界島のブックス銀座。「もう閉めますから」と言われ、前作で取材できなかった銀座書店がルーツの店で、奄美大島の印刷会社の社長が「島唯一の本屋を守らなくては!」と、経営を引き継ぎました。

月に3回くらい大島から本を運んでくるのですが、店頭で本を売るだけでは成り立たず、ネット注文への対応や文具販売、OA機器メンテナンスなど多角経営で支えているとか。

そんな店で、コミックや小説をまとめ買いしていた女子中学生。「銀座書店がなくなると聞いたときは、ショックで死ぬかと思った」「復活して品ぞろえもよくなって、うれしい」と写真付きで載っています。本屋を残そうと努力している方々、本屋を大事に思っているお客さんも、少なからず島にいるんです。

「離島の本屋」と言えばロマンチックですが、現実的には厳しい経営状況です。でも、地元のためにがんばっている店もまだまだあります。

私が沖縄の本屋を取材したときには、子どもが店でかくれんぼしていたり、2階から三線の音が響いてきたり。島の本屋って時の流れが都会と違って、いいなあと思います。

(NHKウイークリーステラ 2021年4月16日号より)

北海道出身。書評家・フリーライターとして活躍。近著に『私は本屋が好きでした』(太郎次郎社エディタス)。