前回「本を手にする余裕がない時期もある。でも本は待ってくれる。この号が出る5月半ばには、気持ちも落ち着き、ゆっくりと本を読んでいたいと願いながら書いています」と結びました。「深夜便」に加えて4月から夕方のニュース情報番組を担当することになり、どうなるのかしらと不安な気持ちをつづったのです。あれから2か月。無事に本を読む時間も作れるようになりました。

新たに担当している「Nらじ」(ラジオ第1、月曜~金曜午後6時から放送。柴田アンカーは水曜~金曜のキャスター)では、投稿フォームやSNSのメッセージ、留守番電話によるボイスメッセージも紹介します。放送中に届くメッセージを見るうち、この番組もリスナーと“ファミリー”のような関係性がある「深夜便」と共通する場だと気付きました。

「Nらじ」リスナーからは、共感コメントもあれば、辛口の言葉も届きます。メッセージを毎日投稿してくれるリスナーは“もう一人の制作スタッフ”でもあるのです。担当する前は、ニュース情報番組という“アウェー”の場で戦う気分でしたが、同じ“ホーム”だと思ったら気が楽になりました。

そんなわけで、少し余裕も出てきまして、待ってくれていた本たちを読みました。ゆず麻子著『らんたん』、森村やすまさ著『生き延びるために芸術は必要か』、佐々涼子著『エンジェルフライト』、17人の著者による『私の身体を生きる』、岸田奈美著『国道沿いで、だいじょうぶ100回』……どれも皆さんにもおススメしたい魅力的な本ばかり。相性が合う本、合わない本があるものですが、当たり続きの読書ライフです。

励まされたのが、岸田奈美さんのエッセー『国道沿いで、だいじょうぶ100回』。「この3年間で『だいじょうぶ』が、口ぐせになってしまった」と始まります。ページをめくるたびに、笑って、泣きました。やがて「だいじょうぶ! 必ずだいじょうぶになるからね」と肩をたたかれている気持ちに。

この号が出るころ、「Nらじ」で岸田奈美さんへのインタビューを予定しています。とっても楽しみです。

(しばた・ゆきこ 第4土曜担当)

※この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2024年8月号に掲載されたものです。

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