ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、中宮定子役・高畑充希さん、女院詮子役・吉田羊さん、藤原道長役・柄本佑さんから!
高畑充希さんの第23回振り返り
——中宮定子と清少納言(ファーストサマーウイカ)との関係について、どう捉えていますか?
史料を読むと、女子同士の恋愛なんじゃない? というぐらい、清少納言は定子にぞっこんなので、どういう台本が来るかと思っていました。でも、大石静さんの描くふたりは、シスターフッドというか、友情や家族愛に近いものがあって……。
出会ったころから、清少納言は定子にすごく心酔してくれていたし、ユーモアがわかって、気心も知れているけど、「使う主と使われる人」という関係性に過ぎませんでした。
それが、定子が追い詰められ、頼る天皇にも見放された時、唯一手を差し伸べてくれたのが清少納言で、いつの間にか友情に近いものが芽生えて……。
ふたりの関係性が変わっていくことについては、台本を読んでいる時よりも、お芝居をする中で気づけていった感じでしたね。
吉田羊さんの第23回振り返り
——道長(柄本佑)とまひろ(吉高由里子)の恋愛について、吉田さんご自身はどうご覧になってますか?
画面を通して見ていると、心配ですねぇ(笑)。もちろん詮子としては、道長の恋の相手がまひろということは知りませんので、謎に包まれていたわけですが、彼の中に間違いなく想い人がいて、本当はその人と一緒になりたいんだろう、というところは薄々気づいていたと思います。
詮子自身、円融天皇(坂東巳之助)を一途に思っていたわけですから、道長が愛する人と結ばれることを誰よりも願っていた。口では「下々のおなごは切り捨てなさい」なんて言っていましたけれども。でも、道長が愛した人であれば、その人と結ばれてほしいと願っていたのではないかと思います。
第23回に、道長から「妻が2人おりますが、心は違う女を求めております」という告白を受ける場面がありましたが、(円融天皇から愛されなかった)詮子にとっては、すごく切実なシーンなんですよね。「愛される人間には、自分にはない“輝き”がある」と感じさせられて……。
「その人にあって、私にはない、それはなんなの?」と道長に問いかけるセリフがあるのですが、自分でも言いながら「はぐらかさないで、本当に教えて」って思いながら聞きました。それが、詮子の本当の気持ちというか、女としての本心、という感じがしています。
柄本佑さんの第23回振り返り
——越前へ行ったまひろに対して、想いは残っていますか?
まひろが越前にいる間の接点は、同じ月を見つめるぐらいですね。大変な問題が次々と起きて、自分の決断が国の行方を左右する状況になっていましたから。
まひろと約束した、「民を思い、民と共に生きる政をする」気持ちのほうが強かったんじゃないでしょうか。そういう意味では、まひろへの想いというのは常にありますね。道長の中に。
第23回の詮子との会話で「己ではどうすることも出来ませぬ」とも言っているんですよね。だから、まひろとのことに関しては、コントロールできないんですよ。
それでも思い合っている、それがソウルメイトのソウルメイトたるところなんでしょう。「どこが魅力で」とか、「どこが好きで」とか、そういう次元とは違うところにふたりはいるのだと思います。
愛情という面では、ちゃんと奥さんのほうに向いていて、例えば、倫子(黒木華)に向ける愛情は、友情とか同志愛に近い気がします。一方、明子(瀧内公美)に対しての愛情は、安らぎを求める愛と言うか……。まひろとの関係には、そういう言葉にはできないものがあると思っています。