アナウンサーになってから、たくさんの方にいろいろな質問をしてきましたが、いきなり「あなたにとって幸せって何ですか?」って聞かれたら、うーんとうなってしまいますよね。「出身は?」など具体的なことなら簡単ですが、心の中を探らないと答えが見つからないこともあります。でもそこが聞きたくて、困るのを承知で質問するのですが、自分が聞かれる立場になると……。答えるのって大変だと実感したのでした。

1月に、「深夜便」と「オールナイトニッポンMUSIC10」が初コラボ。MCとアンカーが互いのスタジオにお邪魔しての生放送で、私はニッポン放送のスタジオに行きました。「心に残る曲は?」との質問に、好きな曲はたくさんありますが、エピソードとともにとなるとすぐには答えが浮かばないのです。

最初に聴いたレコードは『ウエスト・サイド・ストーリー』。当時、レコードプレーヤーから流れる英語の歌に目を輝かせました。でもレコードは姉が買ってきたものでしたし……。ハイフェッツの『ツィゴイネルワイゼン』の演奏もすばらしくて、何度も聴きましたが、それは初めてプロの演奏を聴いたからだったのかもしれません。学生時代は軽音楽部で、ディオンヌ・ワーウィックの『恋よ、さようなら』や『アルフィー』などなど歌っていて、仲間と過ごした青春の一コマを飾った曲はたくさんあります。

悩みながら選んだのがダニエル・リカーリの『ふたりの天使』。切ないときは思い切り切ない気分になって泣くとよいとすすめられた曲だったのです。多感だったころ、この曲で枕をぬらしたものでした。そんな思い出を語り、切ないときには無理に元気ぶらず、この曲で一緒に泣きましょう!とお薦めしました。

それにしても、「深夜便」のゲストやリスナーの皆さんは、いつもすてきな言葉でメッセージを届けてくださり、さすがです。今年度もいろいろな方にお話を伺って、「深夜便」を一緒に作っていくのがとても楽しみです。

ところであなたの心に残る曲は何ですか?

(すま・かつえ 第2・4火曜担当)

※この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2024年4月号に掲載されたものです。
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