この夏、長崎県・五島列島で地元愛あふれるすてきな女性に出会いました。福江島の観光バスガイドさんです。

福江生まれ福江育ち。五島藩の居城だった福江城(石田城) の本丸跡に建つ、歴史ある高校に毎朝城門をくぐって登校されていたとのこと。そして、「福江島に高校は何校 ?(正解三校)」 。 その後も島の産業、歴史、地理の紹介の合間に、島に初めてカヌレというフランスのお菓子が入ってきたのはいつ? 初めてのコンビニができたのはいつ? などのクイズと共に、当時の想い出など島民ならではの話を交えてお客さんを飽きさせません。

2022年度後期の連続テレビ小説〈舞いあがれ!〉の舞台にもなった福江島。ロケの様子やエキストラとして参加した地元の人たちの話を聞いた後に見た大瀬埼おおせざき灯台。わー、まさにあの場面! と、白い灯台や青く輝く海をスマホで撮りながら、ガイドさんが語る大断崖での灯台守や漁民たちの歴史に耳を傾けると、目の前の景色が存在感を増して迫ってきます。

ドラマでは高畑淳子さんが演じた〝ばんば〞の「およ」など、いわゆる五島弁が印象的でした。ガイドさんもあの温かみのある地元の言葉で、お客さんのどんな質問にも地元愛あふれる答えを返します。キリシタンの祈りの歴史に心を打たれ、最新の島民生活裏話に笑いが止まらず、すっかり五島ファンに。

地元愛とはちょっと違うのですが、最近飲食店で、お店愛あふれる店員さんをよく見ます。かつては料理のことを尋ねてもすぐに答えられず、お待ちくださいと厨房に聞きに行き、それでも要領を得ず、何度もテーブルと厨房を往復する店員さんが少なくなかったのですが、最近は料理の素材、調理法、味、分量などよくわかっていて、それはおいしそうに勧めてくれる店員さんがとても多いのです。そんなお店は実際とてもおいしくて何度も足を運ぶようになります。

魅力的な場所は、地元愛にあふれる人が迎えてくれるからこそ、一層愛されるようになるのでしょうね。

(もりた・みゆき 第2土曜担当)

※この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2023年12月号に掲載されたものです。
最新のエッセーは月刊誌『ラジオ深夜便』2月号でご覧いただけます。

購入・定期購読はこちら
7月号のおすすめ記事👇
▼追悼・八代亜紀インタビュー
▼安藤優子、認知症の母を語る
▼ちばてつや 85歳の日々
▼魅惑の缶詰ワールド ほか