「アニソン・アカデミー」生徒会長(番組MC)の“しょこたん”こと中川翔子による連載コラム。今回は、アニソン(アニメソング)が自身の活動のベースになっているという思いをつづります。

アニソンは、中川翔子の“根源”です――。

私は13歳のころ、学校でうまくいかなくて、友達もちょっとできなくて、スクールカーストの最下層に落ち込んでいました。そんなとき、たまたま家のベッドの下から出てきたのが、「コロちゃんパック*」でした。

絵本とカセットが一緒になって書店で売られていたもので、「悪魔くん」とか「ビックリマン」とか「ドラゴンボール」とかが入っていて。その音楽は子どものときによく聴いていたものだったのですが、懐かしさで改めて聴いてみたら、大きな衝撃を受けたんです。

アニソンというジャンルの、表現の幅の広さとクオリティーの高さに。聴けば聴くほど、もっと聴きたくなる、ずっとが出続ける感じに、「何だ、これは!?」と……。

もともとアニソンが好きだという意識はあったのですが、ちゃんと聴くと、ものすごく深い世界があって、そこからハマり倒しましたね。だから私は、芸能界で生きていくことを考えるずっと前から、「アニソンを歌う人になるには、どうしたらいいんだろう?」という思いを持っていました。

それをあまり人に言えなかったし、ただ家で時間を過ごしながら、アニソンや特ソン(特撮ドラマの楽曲)を集めて、聴いて、歌って、ということをしていただけだったけれど。でも、そのときに出会ったものが、今の自分の財産、一生の宝物になっていると思います。

ちょっと大変なことがあったときに、アニソンの歌詞はものすごく心に寄り添ってくれるというか、力をくれる。

例えば、落ち込んだときは「美少女戦士セーラームーン」の『乙女のポリシー』を聴くと1回リセットできるとか、どうしようかなと悩んだときに「魔法のプリンセスミンキーモモ」の『ラブ・ラブ・ミンキーモモ』を聴くと“どんな小さな夢も、大事な宝物”と再確認できるとか。本当に、名言がいっぱいだし。

10代のころは、今の自分のような活動をしている未来を、想像していませんでした。でも、「ポケットモンスター」の劇場版をはじめとして、アニソンを歌う夢がかなって、自分が大事にしていた宝物を子どもたちに届けることができる、子どもたちの思い出になれることに大きな喜びを感じています。

自分がうれしい、じゃなくて、誰かに「思いを届ける」のが本当の夢だったのかもしれません。

それをかなえてくれたのはアニメ、アニソンだから、これからもずっとアニソンを歌うことがいちばんの夢。それが私のやりたいことだというのは、今もブレてないですね。ほかにも好きなことにいっぱい出会ってきたし、やってみて楽しかったことがたくさんあります。

でも、歌だけだったらこんなに長くお仕事させてもらってないだろうし、バラエティー番組だけでも長くやれてない。その全部に意味があって、最終的にアニソンを歌うことにつながっていけばいいなと常に思っています。

*コロちゃんパック…日本コロムビア社の企画・販売による、絵本付き音楽ソフトウエアシリーズ。

5月5日生まれ、東京出身。2004年に開設した公式ブログ「しょこたん☆ぶろぐ」が大評判となり、アニメ・漫画・特撮・カンフーなどの豊富な知識で大きな話題を集める。2006年に歌手デビューして、翌年「空色デイズ」で「第58回NHK紅白歌合戦」に出場。俳優としてのNHKドラマ出演は、連続テレビ小説「まれ」、ドラマ10「デイジー・ラック」ほか。2011年公開のディズニー映画「塔の上のラプンツェル」(日本語吹替版)では、主人公・ラプンツェルの声を担当。4月には中国・上海での音楽ライブ出演、5月には毎年恒例のバースデーライブ開催も決定している。

(NHKウイークリーステラ 2020年6月5日号より)