2024年の大河ドラマ「光る君へ」の主人公は、紫式部! 貴族文化華やかなりし平安時代中期に生き、1000年の時を超えるベストセラー「源氏物語」を書き上げた彼女が、時の最高権力者・藤原道長と深い絆で結ばれながら、変わりゆく世を自らの才と努力で生き抜く姿を描く。
12月11日、NHK放送センター(東京・渋谷)で、第1回とドラマ初頭のダイジェスト映像の試写会が行われた。会見にはまひろ(のちの紫式部)役の吉高由里子、道長役の柄本佑、脚本家・大石静らが登壇。記者の質問に答えた。
放送開始まで約1か月となった今の率直な気持ちを聞かれた吉高は、
「放送まであと1か月と聞くと、ドキドキワクワクします。2022年の3月にオファーをいただいてから、あっという間でした。現在撮影しているのは、まひろが私のやるべきことはなんだろう、自分の使命とは?と模索しつつある時代。その後、どんな人と出会ってどんな風に関係を築き、『源氏物語』を書いていくことになるのか、まだわからないですが、最終回までキャスト・スタッフが誰も欠けずに走り切りたい」と期待と不安が入り混じっているよう。
柄本も同じ質問に、
「まだまだ先だと思っていたのに、不思議なふわふわとした感覚です。道長さんは三男坊らしいのんびり屋。道隆(井浦新)、道兼(玉置玲央)という2人の兄が政に入れ込んでいく中、道長さんは遠巻きに見ています。そんな彼が、あれよあれよという間に出世していく。紫式部と道長のラブストーリーもいいですが、道長の父・藤原兼家(段田安則)や、我々三兄弟の血なまぐさい権力争いが繰り広げられるので、そこも楽しみにしていただければと思います」と宮中パートを強力にプッシュした。
じつは、平安中期を描く大河ドラマは「光る君へ」が初めて。
大石は、物語を書くにあたって苦労したところ、こだわったところを聞かれ、
「何しろ勉強することが多すぎて(笑)。例えば食べ物では、淡路から運ばれる魚の干物に玄米っぽいご飯、塩、それにどぶろくを飲んでいたようです。だから糖尿病になりやすかったという話もあるようで、歴史から風俗、衣装、料理などの考証の先生からいろいろ教わりながら書いています。そもそも平安時代は、戦国時代や江戸時代のような殺し合いをすることが潔いという価値観ではない時代。たとえば律令制では話し合いでいろんな問題を解決していたとか、死刑制度はあったが行われていなかったとか、ある意味とても知的な時代でした。同時に国風文化が栄えたということも強調したいですし、視聴者の皆さんにはこんなすてきな時代だったんだよと問いかけていきたい」と意気込みを語った。
一方、どのような役作りをしているか聞かれた吉高は「なかなか答えるのが難しいのですが」と前置きしつつ、
「書とか琵琶とか、乗馬だったり舞だったり、これまで私が経験してこなかった文化にたくさん触れています。今までの人生でいちばんたくさん習い事をしていますね。だからすべてが新鮮。自分で役を作り上げるというより、その世界に飛び込んで、そこでまひろが作られている感じです」。
「僕も書はもちろん、打毬(ポロのような騎馬競技)とかたくさん練習しましたが、いちばん印象的だったのは、道長さんの直筆の書(京都・陽明文庫所蔵の国宝「御堂関白記」)を見られたこと。ああ、こういう文字を書かれる方だったんだと感じられたというか。以降、それがいつも頭の片隅にあって、道長役を演じる上でもとてもよかったと思っています」と、柄本は演じる上でのヒントになったと語った。
なお、第1回に登場する幼少期のまひろと道長(幼名・三郎)は、子役たちが演じる。吉高は、彼らのお芝居を絶賛!
「好きなもの、気になるものに触れた瞬間のまひろ(落井実結子)の吸い込まれるような目がすてきでした。三郎(木村皐誠)もどうしてこんな雰囲気が出せるんだろうと思うほどの名演で。大人の三郎にそっくりだし、すごいなあと。すばらしいお二人だと思います」
それを受けて柄本も、
「2人とも生き生きとしていました。木村くんとは最初に会ったとき、挨拶させていただいたんですが、自分でも我々似てるかも!と(笑)。ドラマ上で彼が僕になるんだと考えたとき、とても説得力があるなあと感じました。それに吉高さんのいう通り、とても雰囲気のあるお芝居をされていました。僕にとってもすごくうれしいです」と子役たちを賞賛した。
「光る君へ」は、2024年1月7日にスタート。絢爛豪華な平安絵巻の中、紫式部と道長の恋の行方、貴族たちの権謀術数や情け容赦ない権力争いが繰り広げられる。