7月17日(月・祝)の海の日に、流通経済大学・新松戸キャンパスで「海の日アートフェス」が開催された。

『アート=表現』を通じて大学と地域の方々がであい・つながることを目的として開催され、今年は「~みんなでつながる・みんなでつくる~」がテーマに掲げられた。「コモンズ=共有空間」を地域とともに創りあげるイベントの様子を紹介しよう。イベントには、昨年に引き続きNHK財団が企画協力に携わった。

会場は、ワークショップや体験コーナーをはじめ、さまざまな展示コーナーでにぎわった。
入口を抜けた先にはバスケットゴールがどっしりと待ち構え、「バスケもアートだ!」と流経大の龍ケ崎・新松戸両キャンパスのゼミ生たちが、参加者とシュート体験を楽しんでいる。

その奥には、ベトナムの文化を体験するコーナーや、先日釜石市でも開催された「であうアート展」の独創的な作品の数々に加え、大学と地域を結ぶトーイとアートなど、数多くの「アート」が並んだ。

多くの子どもたちが集まった読み聞かせワークショップは、TBSアナウンサーの皆川玲奈さんと、NHK財団アナウンサーの松尾剛さんが温かい声で子どもたちを楽しませた。ふたりが見守る中、学生たちも読み聞かせを行った。子どもたちを笑顔にしたい! その一生懸命な学生の姿が会場を和ませた。

講堂ではステージショーの「コモンズステージ」が行われ、会場を魅了するパフォーマンスや多くの交流で、大盛り上がりとなった。
最初に、流経大のチアリーディング部GLITTERS、子どもダンスチームICSC FAIRIES Athletics(千葉県市川市)、PHOENIX CHEERLEADERS(茨城県つくば市)のコラボパフォーマンスが会場を一気に笑顔にした。

続いて、アートディレクターのヴィクトル・ニジェリスコイ先生率いる演劇部のパフォーマンスは、学生が自ら考えたテーマと脚本、演技の構成が独創的であった。会場は演劇の世界に吸い込まれるような雰囲気となった。

そして、前回もすばらしいパフォーマンスを見せてくれたダンス部が登場。体全体で喜怒哀楽の感情を表現する圧巻のパフォーマンスを披露した。学生が選んだ楽曲には、熱い思いと願いが込められていて、さらにパワーアップした姿を見せてくれた。

さらに、流通経済大学付属柏高等学校の新体操部が、目標に掲げている「みんなが笑顔で踊ること」まさしくそのとおりの、きらびやかで巧みなフラフープさばきで、会場全体をとりこにした。

午前の部の最後をかざったのは、流通経済大学の吹奏楽部。
会場の人たちの体が自然と動き出す、一体感のある演奏を披露した。


そして、午後の部は力石朝日さん(流通経済大学2年生)の、声を使ってあらゆる音を奏でる「ヒューマンビートボックス」からスタート!
今回のイベントに向けて作曲した曲を披露し、声から創りあげられたとは思えない幅広い音色を奏でた。

書道団体「無限未来」による書道は新たなパフォーマンスの形として、海をテーマに、力強い筆使いによるダイナミックな作品をその場で制作してみせた。
さらには、書道にヒューマンビートボックスと演劇部が交わるコラボパフォーマンスも披露。 筆を走らせる動きに、音の力と演劇の表現が加わることで、海を連想させる圧巻のパフォーマンスとなった。
地域の方と学生がみんなでつくるイベントにふさわしい、すてきなコラボだった。

そして、今回のアートフェスでもうひとつ挑戦したのが「歌」によるアート。
地元の松戸市で活動するミュージシャンの方々が、パフォーマンスを披露した。

中東音楽の明るい曲を届けてくれた国際派音楽ユニットChal Chal、明るく温かな声で松戸市のオリジナルソングを歌ってくれたシンガーソングライターのはなさん。ピアノの優しい音色で会場を包み込んだピアニストの山本実樹子さん、会場に響きわたる透き通った迫力のある歌声を披露してくれた枡本侑子さんと市川浩平さん。そして最後には混声合唱団がすてきなハーモニーを奏でた。

Chal Chal

松戸市で活動されている方々が大学に足を運びパフォーマンスを披露してくれたことで、これまで以上に地域と大学のつながりが可視化されるすてきな時間となった。

グランドフィナーレでは、ステージパフォーマンスを披露してくれた学生やアーティストの方々と来場者全員で、東日本大震災の復興支援ソング「花は咲く」を合唱し、ステージショーを締めくくった。

今回印象深かったのは、学生の主体性。学生がイベントを通して地域の方々や子どもたちと関わるその様子は、「みんなでつながる・みんなでつくる」をまさに体現していた。

この一年間、流経大の学生は地域のお祭りやイベントに積極的に参加し、交流の場を増やしてきた。
イベントを推進してきた龍崎副学長、運営や司会進行を務めた学生、ステージパフォーマンスを披露してくれた学生に、イベントを終えての思いなどを伺った。


〇ステージショーの司会進行を担当
萩野あすみさん
中田まどかさん

すごく緊張しましたが、周りの人たちにたくさん支えてもらい、無事に終えることができてほっとしています。皆さんのすてきなパフォーマンスを間近でたくさん見られてワクワクしました。

司会を務めるうえでは、お客さんの拍手や表情などの反応を見てから話すなど、次の場面にスムーズにつながるようにすることを心がけました。皆川アナウンサーにも表情や口調の強弱のアドバイスをいただきました。貴重な経験をさせていただき、本当に楽しいイベントでした。


〇チアリーディング部 GLITTERS

たくさんのお客さんの前で、笑顔で踊れたのでとても楽しかったです! みなさんが手拍子をして、応援してくれて、ひとつになっているなと感じました。ふだん地域の方々と交流する機会はなかなかないので、こうやって一緒に演技ができたことはとてもいい経験になりました。今後もこのようなイベントで交流を深めて、私たちの活動を多くの方に知ってもらえるように、積極的に参加していきたいです!


〇ダンス部

今回1年生は初めてのステージでした。新体制になったダンス部としても今年初めてのステージで、頑張って踊らないと!と緊張していたのですが、地域の方々が笑顔で見てくださったので、私たちも自然と笑顔でパフォーマンスができました。踊った曲や振り付けは、監督の西山先生にアドバイスをいただきながら、自分たちが主体となり考えました。つらい時にいつも助けてもらっている大切な人に、次は私たちが元気にするよ!という思いを込めて踊りました。


〇演劇部

初めてのステージでとても緊張しました。でも、演技をしていくうちにだんだん楽しい気持ちがあふれでてきて、とても満足しています! 演技の構成は自分たちで考えて、ナレーションの言葉の意味や、伝えたい感情を体で表現することを意識しました。書道パフォーマンスとのコラボは、とても新鮮でおもしろかったです。コンテンポラリーダンスは、即興でやるからこそ生まれる動きがあり、そこに大きな価値があると考えています。また、今回のように多くの方と交流できる機会が今後もたくさんあってほしい!と思いました。これからもっと上手く表現できるように今後も活動していきたいです!


〇ヒューマンビートボックス
力石朝日さん

自分で作った曲を披露させていただきました。書道とのコラボパフォーマンスでは「海」がテーマだったので、生命の誕生というイメージを膨らませました。自然音の中でもヒューマンビートボックスでしか出せない音を意識して、書道パフォーマンスの動きを見ながら即興でやらせていただきました。ヒューマンビートボックスを知らない方が多かったかと思いますが、こういう音楽もあるということを知ってもらえる機会になったらうれしいです。今後も地域の方々とつながっていきたいです。


〇龍崎孝 副学長

去年もそうですが、今年も本当にたくさんの松戸市民の方に協力していただきました。去年は我々が「松戸のみなさんと一緒にイベントをやるぞ!」という気持ちが大きかったですが、その思いを松戸市民の方々が受け止めてくださり、その結果、今回のイベントにつながりました。学生たちは本当に楽しそうな表情をしていました。学生たちのパワーのおかげで、より地域と大学の距離が縮まったと思います。

地域共生シンポジウムや釜石でのイベントと、テーマや場面はそれぞれ違ったと思いますが、今回は原点に戻った感じがしました。非常に温かい雰囲気で楽しむことができたと思います。

先日、釜石に足を運んだ際、より地域と関わることの大事さを実感しました。場所は違えど、一生懸命やることに意味があることを学生は実感できたと思いますし、我々大学としての意識もぐっと変わった一日になったことは間違いないです。こうしてつながった輪が、例えば災害時に我々がネットワークとなり、松戸のみなさんの何か手助けとなったり、ふだんの暮らしと関わることをもっと増やすことが大事になると今回確信しました。

「地域の方々と交流できる場を増やしたい」と心の中で膨らませていた思いが、実は同じように思っていた人が多く、自然とどんどん広がりをみせていき、楽しいことをみんなでやるコミュニティができていったこと、すてきなイベントをみんなで創りあげることができたことを大変うれしく思います。今後も歩みを止めることなくつながりを広げていきたいです。