「ラジオ深夜便」アンカーのエッセーをステラnetでも。今回は山下信アンカー。最新のエッセーは月刊誌『ラジオ深夜便』8月号で。

2月、長年の夢だった世界自然遺産の屋久島に行ってきました。自然のエネルギーを全身に浴びるパワースポットでした。

屋久島といえば縄文杉に会いに行きたいところ! しかし、往復10時間のコースは私にはハード過ぎます。そこでチャレンジしたのは、テーマパークのようなネーミングの「ヤクスギランド」でした。ここは標高1000メートル以上の自然休養林で、基本的には登山道を歩きます。ところどころに大きな杉が空高く伸び、「千年杉」や「仏陀杉」など 名前が付けられています。太陽の光が木々に遮られ、見上げるとどの杉にもこけがビッシリ生えています。

屋久島は「水の島」とも呼ばれ、あちこちに沢や滝があり、湿度が高く苔が育つ条件がそろう「苔の宝庫」なのです。苔の上に「オオゴカヨウオウレン」というれんな屋久島固有の小さな白い花を見つけました。

さらに しらたにうんすいきょうも歩きましたが、映画『もののけ姫』の舞台になったといわれる世界が広がっていました。倒木や巨岩にはこれまた苔がビッシリ! 苔むす森でした。何千年にもおよぶ自然のエネルギーに圧倒されたトレッキングでした。

2か所とも体力に合わせたコースが時間の目安とともに設定されていて、年配者でもトレッキングシューズや雨具などがあれば楽しむことができます。ただ、私は張り切り過ぎたためでしょうか? 夜中にふくらはぎのこむら返りと、足の付け根から太ももにかけて強い力で引っ張られたような状態になり、30分ほど苦しみました。運動不足の証しです。

周囲130キロほどの屋久島はレンタカーで巡ると、ブーゲンビリア、それにお邪魔した2月は種子島などでも見られるそめよしに似た「暖流桜」が咲いていました。また、山に入ると猿や鹿も出てきますし、疲れを癒やす温泉も魅力です。ベストシーズンは、3月から5月の新緑のころだそうです。

屋久島では花粉症の症状悪化の心配もありましたが、なぜか東京に帰ってからの方がつらい思いをしました。

(やました・まこと 第2・4日曜担当)

※この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2023年6月号に掲載されたものです。

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