「東京・世田谷には大切な“居場所”がたくさんある。そのことを自分たちで確かめて、発信してみよう!」
そんなプロジェクトを立ち上げたのは、駒澤大学経済学部・松本典子教授のゼミ。学生たちが地域と向き合った奮闘記を全4回でお届けします!
▶▶プロローグ編「東京・世田谷には大切な“居場所”がたくさんある!」
▶▶第1話「河川敷で見つけた宝もの」
▶▶第2話「こころを育む子ども食堂」
▶▶第3話「ようこそ小さな本屋さんへ」


今回紹介する、学生が制作した動画リポートはこちら!
「ようこそ小さな本屋さんへ」

▼「ようこそ小さな本屋さんへ」の動画リポートはこちら▼


尾山台駅から2分ほど歩いたところに、その本屋さんはあります。
「WARP HOLE BOOKS(通称:WHB)」。自分の住む町に新刊を扱う本屋さんがないことを寂しく思ったデザイナーの黒川成樹さんが立ち上げました。欲しい本を探すというよりも、知らない本と出会い、訪れた人の気持ちを思いがけないところへワープさせてしまうような空間を目指しています。取材したのは、駒澤大学経済学部の永井梨音さん、藤井麗美さん、宮田若奈さん、千葉麻美さん、海老根菜生さんの5人。

左から永井さん、藤井さん、宮田さん、千葉さん、海老根さん

実は、永井さんはこのプロジェクトの前からWHBの黒川さんのことを知っていたそうです。
永井「私は、以前ゼミの別の活動で黒川さんを取材したことがあったんです。それで、今回もまた取材させていただけたらと思い、みんなに紹介しました」
宮田「私は黒川さんとは面識がなかったのですが、永井さんの話を聞いて、すてきだなと思いました。本を売るという目的だけではなく、誰もが気軽に訪ねて、ひと息つける場所にしたいという発想にひかれました​。しかも、自分で一から作ってしまうなんて、どんな人なんだろうと(笑)。ぜひお会いしてみたいと思いました」
そう語る宮田さんは、このチームのリーダーです。

尾山台の小さな本屋さん、WARP HOLE BOOKS

早速、永井さんを中心にWHBの黒川さんに連絡をとり、5人は取材を始めました。
宮田「黒川さんはインタビューで『街にも休み時間っていうか、そういう場所がないと苦しい気がする』と語って下さいました。そして、そこでみんなに楽しんでもらうために、『本屋インザダーク』という暗闇の中で本を選ぶイベントを開催したり、お客さんを巻き込んで企画会議をしたり。自分だけじゃなくて、みんなのことを考えておられて、みんなでアイデアを出し合って、楽しいことをしたいという熱意がすごく伝わってきました​」

藤井「私は、以前別のイベントで黒川さんにお会いしたことがあったのですが、それを覚えていてくださって、取材のときに声をかけてくださりました。一人ひとりと丁寧にコミュニケーションをとられるところが、黒川さんの求心力だと思いました」

取材に向かう、海老根さんと永井さん。

ところが、実際に動画の制作がスタートすると、次々と課題が生じてきたそうで……。一体、彼女たちはどのように乗り越えていったのでしょう。

千葉「最初のロケは、企画会議の撮影で、海老根さんと私が担当しました。参加者の中には、いわゆる『顔出しNG』の方もいらしたのですが、 どうしても画角の中に映り込んでしまって、苦労しました」
海老根「あのカットにもこのカットにも映り込んでいる、と気付いたときは、もうピンチ。どうしたら編集できるだろうと思うと、どんどん慌ててしまって」

宮田「私は現場には行けなかったのですが、後日、映りたくない方を映してしまったと二人から連絡があったときは焦りました。使える映像がなくなってしまうのではないかと……。どうしたら良いか分からないから、とにかく早くアドバイザーの星野さん(NHK財団)に相談しようと二人に言いました。
海老根さんは、5人の中でいちばん危機察知能力が高いんです。『顔出しNG』の方を撮影して慌ててしまったという話がありましたけど、リーダーとしてはありがたかったです。何か不安材料はあるか、いつも海老根さんに確認していましたから。映り込みのあった動画は、そのカットを削除したり、モザイクをかけたりして対応しました。困ったときは、包み隠さず相談するべきだと改めて感じました」

WHB店主の黒川成樹さん

さまざまな困難をチーム力で乗り越え、動画を完成させた5人。今回のプロジェクトを通して、何を学んだのでしょうか。

宮田「私はリーダーとして、チームをまとめていくノウハウを得ることができました。グループって、いろいろな人がいるイメージですけど、このグループは似たような人たちが集まっていたんです。本当は一人ひとり考えを持っているはずですが、なんだかみんな似た意見になってしまうような……。でも、違う意見が出た方がアイデアの幅が広がるから、私としては自分の意見を持ってほしくて。リーダーとして、ずっと優しいだけじゃダメなのかなと思って、『意見を出してほしい』ということを強く伝えました。その甲斐あってか、みんなが頻繁に発言してくれるようになりました」
藤井「私はロケに行ったことで、多くの人と関われたことが良かったなと思います。グループ内でもそうですが、自分の気持ちは言語化しないと伝わらないということを学びました」

海老根「私も藤井さんと同じで、人と関わる経験ができたことが大きかったです。コロナ禍で人との関わりが不足していたんですが、円滑に人と付き合っていくためには、自分の意見を伝えたり、何かあったらすぐに相談したりすることが大切だと実感しました」
千葉「私はテレビの仕事に少し興味があって、今回初めて 本格的なロケや取材を経験できて、良かったです」
永井「私も動画制作のノウハウを学べて楽しかったです。​必要なカットを撮るためには遠慮しすぎないで、ときには前に出たり、対象に近づいていったりすることも大切なんだと学びました。大変だけど楽しかったです」

ナレーターは藤井麗美さん。カメラの腕前も抜群。

メンバー5人は、みんなやさしくて、少し控えめな学生。当初、リーダーの宮田さんが頑張って引っ張っていっていました。ところが、動画制作を続けるなかで、どんどん活発な意見交換ができるチームに変化。個人としても、チームとしても大きな成長を遂げました。
そんなWHBチーム5人が生んだWHBの動画リポートを、ぜひご覧ください!

5人が困難を乗り越え作り上げた、「ようこそ小さな本屋さんへ」の動画リポートの視聴はこちらから↓