撮影/御厨慎一郎

テレビやラジオ番組の俳句指導でおなじみの夏井いつきさん(66歳)。夏井さんのライフワークでもある“俳句の種まき活動”は俳句ブームをけん引し、第72回日本放送協会放送文化賞など、数々の賞を受賞しています。夏井さんが、活動の原点や俳句への熱い思いを語ります。
聞き手/小野文明


原点は蕪村の句で感じた“匂い”

――夏井さんとはテレビやラジオの俳句コーナーで何年もご一緒していますが、改めて俳句の魅力とはどんなところでしょう?

夏井 それは質問がざっくりしすぎやわ(笑)。俳句を作る魅力とか、季語との出会いの新鮮さだとか、いろんな切り口があるからね、ひと言では言えませんよ。

季語について言えば、番組でご一緒する漫才コンビ・フルーツポンチの村上君が、 「季語を知って生活を始めると、世界に色が生まれる」と気取って言うのが、あながちうそじゃないと思っています。

例えば、「風光る」は春の季語で、春になって吹いてくる風に光の量が増えるような感じを表しているんだけど、これが初夏の季語「風薫る」に変わると、若葉の色や匂いが脳の中へ流れ込んでくるような感覚になるでしょ? 「光る」と「薫る」が違うだけで、今まで物の名前にすぎなかった言葉が……(続く)。

続きは月刊誌『ラジオ深夜便』7月号(6/16 発売)をご覧ください。

※この記事は 2023年3月24日放送「俳句の種をまき続けて」を再構成したものです。

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