2024年放送の大河ドラマ「光る君へ」の題字が決定!


【題字制作】 書家・根本知さん コメント
「光る君へ」は、漢字とかな文字が交互に並ぶタイトルです。紫式部と藤原道長、両者の想いが入り混じり、それでいて互いに感化し合うような、そんな印象の題字を書きたいと思いました。日本書道の魅力の一つに「流れ」の美しさが挙げられます。文字だけでなく、文字と文字の間にも流れが感じられるよう、何度も筆をとりました。ドラマでは、書道指導も担当します。平安時代の書に向き合える喜びとともに、身の引き締まる思いです。

根本知 (ねもと・さとし)

博士(書道学)。大東文化大学大学院博士課程修了(2013)。大東文化大学や立正大学、相模女子大学等で教鞭を執る傍ら、腕時計ブランド「GrandSeiko」への作品提供(2018)やNYでの個展開催(2019)など創作活動も多岐に渡る。
無料WEB連載「ひとうたの茶席」(2020〜)では茶の湯へと繋がる和歌の思想について解説、および作品を制作。また、近著に『書の風流―近代藝術家の美学』(2021、春陽堂書店)がある。

【制作統括】 内田ゆきチーフ・プロデューサー コメント
「光る君へ」出演者への書道指導を根本知先生にお願いして、最初のレッスンの日。先生の手元から生まれる柔らかく瑞々しい墨跡。そして、さわやかに、それでいて情熱的に書を語る先生のことば。全く書道の知識がない私ですが、平安の人々にとって、どんなに文字が大切なものであったかに思いを馳せ、心のうちを表す手段というだけでなく、文字そのものが宝といっていい文化であり、連綿と私たちに伝わってくれたことへ感謝する気持ちになりました。

紫式部の「光る君へ」だからこそ、題字は絶対に毛筆でいきたいと思っていました。決め手は、もちろんまず根本先生の字の美しさ、優しさ、色気。加えて、手紙に書類に、和歌に漢詩に、日記に物語にと文字を書く人たちによって紡がれるこのドラマを、ご一緒にわくわくしながら作ってくださっている安心感でした。題字を眺めると、自在に静や動があやつられて一つの世界を描くように、文字から文字へ、かろやかにつながっていきます。

なかでも私が好きなのは「光」の最後の一画。このたおやかな曲線は根本先生にしかできない、と、見るたびに感じいってしまうのです。この題字が光を発して私たちの物語の拠り所をひとつ示してくれているようで、非常に嬉しく有難く思っております。


物語

10世紀後半、京で生まれた一人の女の子。まひろと名付けられる。父・藤原為時ふじわらのためときは漢学や和歌に秀でた文人の家系だが、下級貴族である一家の暮らしぶりは豊かではなかった。まひろの文学の素質は幼い頃から際立ったものがあり、弟への講義を横で聞くだけで、漢学も和歌も覚えてしまうほどだった。学問はまひろにとって、心の中の豊かな世界観の礎となる。

少女のまひろが出会った運命のひと。それがのちの最高権力者となる藤原道長ふじわらのみちながである。まひろと道長はやがてお互いにかれていく。しかし両家の家格の違いと、まひろの母の死にまつわる秘密が、二人の関係に影を落とす。

その後、父の受領ずりょうとしての赴任先・越前に同行したまひろ。一方で、道長はライバルを蹴落とし、権力の階段を急速に上り始めていた。まひろは思いを断ち切って、京に戻り藤原宣孝ふじわらののぶたかとの結婚を決める。宣孝とは父ほども年が離れており、娘を授かったものの、わずか一年で夫が急逝。まひろはシングルマザーとなる。

道長は、天皇に娘を入内じゅだいさせ、いずれは天皇の祖父=外戚がいせきとなることをもくろんでいた。天皇、道長たち貴族、そして きさきや姫たちの複雑な人間関係を聞き知ったまひろ。子育てのかたわら、一編の物語を書きはじめる。主人公は皇子でありながら、臣下となった光る君。その呼び名のとおり光り輝くように美しい男性だ。

「源氏物語」の評判はまたたく間に広がり、まひろは、道長から、娘に后としての教養を授ける女房として宮中に上がるよう、強く誘われる。一人娘の養育のために、宮中に上がることを決意するまひろ。宮仕えのかたわらで、道長のバックアップを得て、乞われるままに源氏物語を書き進む。書き上げる端から周囲が奪い合うほどの人気ぶりで、女性たちはもちろん、天皇までもが源氏物語に魅せられる。物語の登場人物「紫の上」にちなんで、まひろに「紫」の呼び名が冠されるほどだった。


大河ドラマ「光る君へ」
【放送予定】 2024年1月~12月
【作】大石 静
【音楽】冬野ユミ
【語り】伊東敏恵アナウンサー
【スタッフ】
制作統括:内田ゆき、松園武大
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉 慧、黛りんたろう ほか

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