「青のオーケストラ」
毎週日曜 Eテレ 午後5:00~5:25
再放送 毎週木曜 Eテレ 午後7:20~7:45
※放送予定は変更になる場合があります。
【番組HP】https://www.nhk.jp/p/ts/3LMR2P87LQ/
いつか私も……、青野くんみたいに弾けるようになりたいなあ……。
小学校2年生のときの音楽コンクールで青野くんが奏でるヴァイオリンの音を聴いて以来、ハルちゃんが抱えてきた憧れ。彼のことがずっと気になっていたからこその、高校入学時の、あの不審な行動(笑)だったわけですね。
そのときの「約束」のことを、やっと言えたのに。やっと言えたのにっ!!!
青野くん、覚えてないのかーーーっ。↓↓↓ ハルちゃん、不憫すぎる。しかも「俺、小桜さんに嫌われてると思ってたから…、普通に喋ってくれてホッとした」って。いやいやいや、明らかにハルちゃんは声がうわずってるでしょ! 気づいてやらんのかーい!?
ちなみに原作コミックスのほうでも、未だに青野くんは「約束」のことを思い出しておらず……。
えええええ!? もうね、ハルちゃんはメガネっ子に戻って、青野くんの前でブルッフを弾いてあげればいいと思うの!!!
はい、落ち着いて。
というわけで、第7話は「小桜ハル」のサブタイトル通り、ハルちゃんの気持ちの揺れがほぼ全編にわたって丁寧に綴られていく展開でした。
顧問の鮎川先生(声:小野大輔)の妥協のない指導のもと、オーケストラ部の合奏練習が始まった。その演奏中に大きなミスをしてしまった青野一(声:千葉翔也)は落ち込むが、練習後、コンマスの原田蒼(声:榎木淳弥)に「明日はそんな顔で演奏しないようにね!」と励まされる。
下校時も降り続く雨の中、青野は、強風で傘が壊れてしまった小桜ハル(声:佐藤未奈子)と一緒に帰ることになった。ハルは歩きながら、小学生のときに出場した音楽コンクールで青野が声をかけてきた際の「約束」について口にするが、青野はそのことを思い出せない。
数日後、ハルは一緒に練習していた佐伯直(声:土屋神葉)に、きれいな音を出せるのにフォルテが苦手であることを指摘され、「いつも遠慮しているように見える」と言われる。たくさん友達ができた親友の秋音律子(声:加隈亜衣)にも、自分は遠慮しているのだろうか? 律子に対する複雑な感情を自覚し、自己嫌悪に苛まれる中で、帰り道、ハルは中学時代の同級生である篠崎(声:鈴代紗弓)を見かけてしまい……。
高校に入って、目まぐるしく変わった環境。新たな一歩を踏み出したいと思っていたのに、自信を持てないままでいる自分。私とは違って、りっちゃんには、りっちゃんの世界がある。こんな感情、りっちゃんには持ちたくなかった……、と自己嫌悪に陥るハルちゃん。
そして……。
つくづく自分が嫌になる。
結局、私はあの頃から何も変わってない。
うわぁぁぁ、いろんな意味で「心に刺さる」場面で終わっちゃった。次回の「G線上のアリア」の放送まで、ハルちゃんの気持ちに胸が締め付けられたまま、1週間も待つのか……(泣)。
でも、きっと。
りっちゃんが繋いでくれた手の力強さの先に、救いがあるはず。もやもやした思いを吹き飛ばしてくれる展開に期待したいですね!
そのハルちゃんが心にトラウマを抱える原因を作った篠崎さんは、今のところ「青オケ」の中で唯一、私が共感しにくいキャラクターです。あの「青オケのクズ」とも呼ばれている(笑)青野くん父の龍仁でさえ、至高の芸術を生みだすために、それ以外のことを何も考えられなかった、という解釈ができなくはないんだけど、篠崎さんの、おそらくは無自覚な(いや、自覚はあるのか?)悪意に接すると、本当に胸が苦しくなる。でも、こういう人って、きっと現実世界にもいるんだよな。ちょっと嫌だな。そんな世の中と、どう折り合いをつけていけばいいのか……。簡単に答えが見つかるものじゃないかもしれないけれど、この作品にふれて、そんなことも考えたりしました。
話を戻すと、今回の「ハルちゃん回」。ハルちゃんは各シーンにほぼ登場しているから、セリフ&モノローグの連続で、いろんな思いを場面ごとに表現しなくちゃいけない。しかも子ども時代もあって。それをがんばってやり遂げた、ハルちゃん役の声優・佐藤未奈子さんに大拍手!
5月28日に放送される第8話「G線上のアリア」のあらすじを読むと、こちらでも活躍の場がありそうですね。楽しみしかない。
中学時代に自分が転校する原因になった同級生・篠崎を偶然見かけたことで、ハルは登校することができなくなり、部活も休み続けていた。心配して律子が送るメッセージに対して、返ってくるのは「大丈夫だよ」という言葉ばかり。それはハルにとって、自分を縛りつける“呪いの言葉”だった。律子の優しさを知っているからこそ、彼女に甘えてしまう自分が怖い。ゆえにハルは頼ることができずにいた。一方、律子は「高校に行ってオケ部に入ったら一緒にヴァイオリンを演奏しよう」という中学時代の約束を果たすために、話をしようとハルの家に向かう。
原作のエピソード・タイトルでいうと、「律子とハル」。もうね、りっちゃんとハルちゃんの感情が正面からぶつかり合うわけですよ! そのうえで、小川恭子さん(第84回日本音楽コンクールで、ヴァイオリン部門1位ほか各賞を総なめに!)が弾く「G線上のアリア」なわけでしょ? ああ、号泣必至なことが簡単に予想できる……。
録画・配信などで、第2話「秋音律子」を復習したうえで視聴に臨むと、より感動が深まること間違いなしです。
よおぉぉぉぉぉし、あと6回寝れば「G線上のアリア」だ!
ところで今回、小学2年生の青野くんが弾いていた曲は、ヴィエニャフスキの「スケルツォ・タランテラ」。演奏しているのは、国際ジュニア音楽コンクールでの入賞歴がある江原望花子さんです。なんとリアル小学生! ちなみに、いつも青野くんの演奏を担当している東亮汰さんじゃないのは、子ども用の分数ヴァイオリンの音が必要とされたから。この曲は、超絶技巧を求められることで知られる難曲ですが、父親の龍仁(演奏担当はヒラリー・ハーンさん)も超絶技巧曲として名高いパガニーニの「24のカプリース」を弾いていたから、やはり親子であることは争えないですね。
YouTube青のオーケストラ公式【青のオーケストラ 聴きドコロ♪】の動画は、これまでの登場曲まとめ第1弾! その「24のカプリース」も入っています。
第7話「小桜ハル」の再放送は、Eテレ 5/25(木曜)午後7:20~7:45。
見逃し配信は、NHKプラスで5/28(日曜)午後5:25 まで。
https://plus.nhk.jp/watch/st/e1_2023052125424
追記
演奏でミスをして、へこんでいる青野くんに見せる原田先輩の笑顔と、「音に乗せてほしい気持ちは反省じゃないよ」の言葉。ああ、「原田マジック」は男子にも有効なのか! 青野くん、惚れたね。
カツオ(一本釣り)漁師、長距離航路貨客船の料理人見習い、スキー・インストラクター、脚本家アシスタントとして働いた経験を持つ、元雑誌編集者。番組情報誌『NHKウイークリー ステラ』に長年かかわり、編集・インタビュー・撮影を担当した。趣味は、ライトノベルや漫画を読むこと、アニメ鑑賞。中学・高校時代は吹奏楽部のアルトサックス吹きで、スマホの中にはアニソンがいっぱい。
☆これまでの感想記事は、ここに(https://steranet.jp/list/category/stera_aniken )。