これまでに放送された「素朴なギモン」とその答えを、忘れないように復習しておきましょう。
日本が世界に誇る食文化のひとつ、お弁当。今 や、そのまま「BENTO」として世界で通じる言葉にもなっているとか。今回は、この「弁当」の、もともとの意味を、おさらいしましょう!


答え:「弁当」=「便利」だから

詳しく教えてくれたのは、米食文化研究所の八谷中大理事。
「弁当」という言葉自体は、12世紀ごろに中国で生まれ、後に日本に伝わったとされています。しかも、最初の表記は「便当」。現在の〝お弁当〟の意味はなく、いわゆる〝便利〟という意味の言葉でした。

日本最古のお弁当的な食べ物、糒(ほしい)。軽くてかさばらず保存がきくため、袋などに入れて持ち歩き、水や湯で戻して食べていた。古墳時代に記録が残るが、「弁当」とは書かれていない。

日本で、「便当」が〝外出先に持っていく食事やその器〟の意味を持つようになったのは、おそらく安土桃山時代。身分の高い人たちは行楽に出かける際、食事を「じきろう」と呼ばれる器や重箱に詰めて用意していました。

安土桃山時代の貴族や大名たちは、お花見などの行楽に出かける際、食べ物を専用の器や箱に詰めて用意させていた。

一方、この時期に来日していたポルトガルの宣教師が作ったという日本語の辞書には、〝文具箱に似た一種の箱で、引き出しがついており、これに食物を入れて持っていくもの〟として、「Bento」を当てています。

つまり、どこでも好きな場所で食べられる、とても便当なものということで、その食事自体を「便当」と呼ぶようになっていったと考えられるのです。

お弁当文化は庶民の間にも広まり、旅人が自分の弁当箱を持って出発し、宿泊先で中身を詰めてもらう「道中弁当」、歌舞伎などの幕あいで食べる「幕の内弁当」などへと、発展していった。

また、「便当」が「弁当」になった理由として は、「弁」の字には、〝備える〟という意味があり、「弁当」と書いた場合、〝事前に調理して備えたものを用に当てる〟となり、よりふさわしいとされたためではないか、と推測されるとのことでした。

※1人前の食事を入れる曲げ物の容器「面桶(めんつう)」から転じて、「めんつう」「めんどう」「べんとう(=弁当)」となったという説もあるそうです。

(NHKウイークリーステラ 2021年10月22日号より)