これまでに放送された「素朴なギモン」とその答えを、忘れないように復習しておきましょう。
おいしい食事でまんぷくになったら、締めは温かいコーヒーで一服...。というのが、レストランでの定番コースですが、そもそも、どうして食後にコーヒーを飲むのでしょうか? コーヒーを飲みながら、お答えください!


答え:ワインの酔いをさますため

詳しく教えてくれたのは、コーヒーの歴史や文化を研究している、辻調理師専門学校講師のやま伸二先生。コーヒーが特に〝食後〟に好んで飲まれるようになった理由には、ヨーロッパの食文化が大きく関係しているといいます。

もともとアフリカのエチオピアを原産とするコーヒーが、飲み物としてヨーロッパに伝わったのは17世紀後半。ロンドンをはじめとして、ベネチア、パリ、ウィーンなどの各地に広まっていきました。

ところで、ヨーロッパの食事においては、ワインがつきものです。昼でも、食事の間に1〜2杯は飲む人が多いとか。中には、仕事の合間といえども、ランチでワインを飲む人も...。

コーヒーの起源は、15世紀半ばにイエメンで生まれた「カフワ」。アラビア語で「ワイン」を意味し、酒を飲めないイスラム教の人々が、ワインの代わりに飲んでいたものだった。このころから、ワインとのつながりは深かった!?

しかし、近代に入り、体を使う仕事から、頭を使う仕事が増えていくと、さすがにほろ酔い気分のままで仕事に戻るわけにはいかなくなっていきます。例えば、銀行業、保険業、新聞なども、ちょうどこのころ生まれた職業です。

そこで、当時の人々は、食後、ワインでゆるんだ冷静な判断力を取り戻すため、いわば〝酔いざまし〟の効果を期待して、コーヒーを飲むようになったのです。

ちなみに日本にコーヒーが入ってきたのは、西洋文化が導入された明治時代。つまり、「食後のコーヒー」 は、最初から、洋食とセットで登場していたのです。

(NHKウイークリーステラ 2022年3月25日号より)