これまでに放送された「素朴なギモン」とその答えを、忘れないように復習しておきましょう。
スポーツの試合で得点が入ったときなどに思わずとってしまう、こぶしをグッと強く握りしめるポーズ。これを「ガッツポーズ」と呼びます。ところで、あれって何ですか?


答え:「このあとも頑張るぞ!」という印

詳しく教えてくれたのは、運動神経科学を研究している、東京大学の大築たつゆき名誉教授。

「ガッツポーズ」は、試合中に選手が冷静さを失わないため、集中力を欠かさないために必要な動作なのだといいます。

ポイントとなるのは、脳の「前頭前野」という部分。人は、極度の緊張や興奮状態に陥ると、左右の手足を別々に動かせなくなることがあります。
これは、感情をコントロールしたり、集中力を促したりする前頭前野が、うまく働かなくなるためと考えられています。しかし、体の正確な動きが求められるスポーツの試合中に、そんなことが起きては大変ですよね。

そこで、選手たちは、ガッツポーズをして片手のこぶしを強く握ることで、脳を刺激。それが前頭前野にも伝わるので、冷静な判断と正しい動きを保つことができているのです。

ボウリングでストライクを決めたとき、テニスでポイントを取ったとき、ゴルフでバーディーを取ったとき。確かに、ガッツポーズは、正確なコントロールが求められるスポーツの試合中に多く見られる。

対照的なのが、試合終了時に見られる「バンザイ」。試合に勝ったうれしさから、前頭前野がコントロールを失い、両手が同じ動きをしている状態です。

つまり、試合中に、このあとのプレーも頑張るため、脳に刺激を送るべく、片手で〝グー〟を作るのが「ガッツポーズ」。

試合に勝った興奮で、左右の手が脳のコンロトールから解放され、そろって〝パー〟で行われるのが「バンザイ」というわけです。

(NHKウイークリーステラ 2021年7月23日号より)