これまでに放送された「素朴なギモン」とその答えを、忘れないように復習しておきましょう。
水族館の人気者・イルカ。ショーなどで披露してくれる迫力満点のジャンプも、人気の理由です。でも、野生のイルカも、泳ぎながらジャンプをしますよね。それって、なぜなのでしょうか?


答え:体についたアカを落とすため

詳しく教えてくれたのは、東海大学海洋学部の村山司教授。イルカがジャンプをする理由のひとつは、体のアカを落とすため、そしてそれは、泳ぐ〝速さ〟を保つためだといいます。

通常、 イルカが泳ぐスピードは、時速約15キロ。ただし、敵から逃げるときや獲物を追いかけるときには、約40キロに達します。速さの秘密は、やわらかく、弾力性のある皮膚。しかし、ここにアカがたまってしまうと、 表面がかたくなり、水の流れによって小さな渦が発生。これが抵抗となって、泳ぐスピードが 落ちてしまうのです。

これは、イルカにとって命にかかわる重要な問題。そこで、ジャンプをして体を水面に打ちつけ、その衝撃と水の流れで、体についたアカを落とし、皮膚の弾力とやわらかさ、ひいては泳ぐスピードを保っているのです。

イルカの皮膚は、弾力があってやわらかく、水が当たっても渦ができないため、抵抗を受けずに速く泳げる。

というのも、イルカは、皮膚のもとになる角化細胞がとても多く、その分、アカが生まれるのもハイペース。人間の場合、皮膚の入れ代わり1日約1回ですが(このとき古くなった皮膚がアカとなる)、イルカの場合は1日12回!
つまり、2時間に1回のペースで皮膚が入れ代わり、アカが出ていることに。そこで、まめにジャンプをして、まめにアカを落とす必要があるというわけです。

出たアカをそのままにしておくと、表面がかたくなるため、抵抗となる渦ができ、泳ぐスピードが落ちてしまう。

(NHKウイークリーステラ 2021年6月18日号より)