12月7日(土)からスタートする特集ドラマ「コトコト〜おいしい心と出会う旅〜」。百貨店のバイヤーである主人公の結稀宏人(古川雄大)が、日本全国の魅力的な食材を探して全国各地を旅する物語だ。
富山編では同県出身の柴田理恵さんが、地元の農家・三盃和代役として出演。「富山あるある」が詰まっているというこのドラマの魅力や撮影の様子などを聞いた。
――記念すべき1話目に富山が登場しますね。
柴田 まだまだ富山県のことをよく知らないっていう人もいらっしゃるので、ものすごくうれしいです! 私は18歳で東京に出てきて、20歳過ぎぐらいから、「どうも富山に帰った方が、ご飯が美味しいのはどうして?」って思うようになったんです。富山はブリや白エビなどの魚介類だけじゃなくて、お米も野菜も、何もかもが美味しいんです!
気づくのが遅すぎましたけど、富山を離れて初めて、実は食材のレベルが全体的に高いんだってことがわかりました。今回、くしくもこのドラマが教えてくれ、もっともっと世の中に広まればいいなって思っています。しかも、47都道府県で一番初めに登場したのはすごくありがたいことです。
地元の農家さんから野菜を買いました!
――農家の女性役がすごく馴染んでいましたが、役作りなどはしましたか?
柴田 全然ないです。地のまま(笑)。方言も、もうちょっと「いねー」とか言うよね、と自分で追加したくらい。
撮影の時、畑を貸してくれた農家さんをはじめ、近所の農家さんが見に来てくれました。撮影が終わってから、「ちょっと俺んとこの畑見てって」って言われて見に行って、実は里芋がすごく美味しいことを教えてもらいました。その人のおじいさんがその土地で初めて里芋作りを始めて、今は孫の代が一生懸命やっておられるんです。この人や他の農家さんと連絡先を交換して、その人たちから野菜を買って送ってもらっています。
富山県の人の特徴なのか、「これがいい!」と思うと、真面目にコツコツ、コツコツ、自分が納得できるまで努力を惜しまない人たちなんです。勤勉で真面目な県民性で、気温や地面の温度などを毎日ノートにつけておられる方などがたくさんいらっしゃって……。このドラマのおかげで、素晴らしい農家さんに出会い、美味しい野菜を取り寄せて恩恵を受けることができました。
――このドラマには「富山あるある」が詰まっていて、観ていて笑いっぱなしだったそうですね?
柴田 富山の人は、本当は素晴らしいものがたくさんあるのに、「なんもないっちゃ」って言うんです。ドラマでは若者が富山の魅力を伝えるために、「もっとこうせにゃあかん」とかすったもんだしますが、次の一歩に踏み出せないし、「あの人に任せていいのかね」って不安になったりするところは、すごく富山っぽかったです。
――今回の撮影は、能登半島地震の影響で、3月の予定が5月になったんですね。
柴田 能登が甚大な被害を受けましたが、富山も被災しました。でも、能登の方が大変すぎて、「能登に比べたら、富山の被害は大したことない」という雰囲気があったんです。富山は狭い県ながらたくさんの川が流れていて、治水との闘いの歴史があります。なので、震災の影響で液状化現象もあったのですが、あまり報道されませんでした。
それでも富山県はいいところなんだ、ここでちゃんと根を張ってやっていこうっていう気持ちをみなさんが持っていて、このドラマが、そんな気持ちの一端を担えたらいいなと感じました。
古川さんは、いるだけであったかい雰囲気を出す人
――古川雄大さんとは初共演ということでしたが、どんな方でしたか?
柴田 古川さんには根っこのあったかさがあって、そこにいるだけであったかい空気を出す人。初めは、“知らんあんちゃんが来た”って感じなんだけど、このあんちゃんが言うことならって、聞いてみたいなって思わせるものがありましたね。
――富山県出身者の柴田さんから、ぜひこれからドラマを観る方々へのメッセージをお願いします。
柴田 富山で地元の人に「富山に美味しいものがありますか?」と聞いてみたら、「何にもないっちゃ」って言われても、絶対にありますから。それを信じないで! 「あんたの好きなところに連れてって!」って聞いたら、その地元の人はきっと、本当においしいとこ連れていってくれますから!
しばた・りえ
1959年、富山県生まれ。'84年、佐藤正宏や久本雅美らと「WAHAHA本舗」を旗揚げ。劇団公演のほかドラマや映画、バラエティー番組などに多数出演。NHKでは「週刊こどもニュース」でお母さん役を務めたほか、連続テレビ小説「ひよっこ」では三男の母・角谷きよを演じた。
特集ドラマ「コトコト~おいしい心と出会う旅~」
【富山編】12月7日(土) BSP4K 午後9:00〜9:59
12月8日(日) NHK BS 午後4:30〜5:30
※総合にて、2024年度冬放送予定
東京の百貨店バイヤー・結稀宏人(古川雄大)がやってきたのは、富山県・射水市。日本海にのぞむ新湊漁港を訪れると、仲買人の遥来(葉山奨之)と漁師の壮太(濱尾ノリタカ)の幼なじみ2人が、地元の魚の売り出し方をめぐってもめていた。宏人は、富山の魅力を伝えたいという遥来に案内されて食材探しへ。ところが海や山の食材を試すも「これが富山だ」というものはなかなか見つからず……。そんな中、遥来と壮太をめぐる過去の出来事が明らかになる。
作:坪田文
音楽:光田康典
制作統括:堀内裕介
プロデューサー:田島彰洋、郷原陽介
演出:木村隆文、門脇弘樹、髙橋実香
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兵庫県生まれ。コンピューター・デザイン系出版社や編集プロダクション等を経て2008年からフリーランスのライター・編集者として活動。旅と食べることと本、雑誌、漫画が好き。ライフスタイル全般、人物インタビュー、カルチャー、トレンドなどを中心に取材、撮影、執筆。主な媒体にanan、BRUTUS、エクラ、婦人公論、週刊朝日(休刊)、アサヒカメラ(休刊、「写真好きのための法律&マナー」シリーズ)、mi-mollet、朝日新聞デジタル「好書好日」「じんぶん堂」など。