古川雄大主演の特集ドラマ「コトコト〜おいしい心と出会う旅〜」。百貨店のバイヤー・ゆうひろ(古川雄大)が、日本全国の魅力的な食材を求めて各地を旅する中で出会う人々や出来事を描く、“人情グルメ物語”だ。

「富山編」「新潟編」の放送を前に記者会見が行われ、出演者の古川雄大さん、小林幸子さん、柴田理恵さん、制作統括の堀内裕介さんが登壇した。


コトコト煮込んだスープを飲んでいるような感覚になる作品

会見ではまず、主演の古川さんが挨拶。

「完成した作品を見せていただき、ゆったりとした空気が流れたドラマだと感じました。現地で撮影したからこその“の力”があり、心に染み渡るというか。自然にスッと入ってくるドラマで、気がついたら最後に心に溜まっているような、コトコト煮込んだスープを飲んでいるような感覚になります。作品のテーマにはすごく強いものがあり、ぜひたくさんの方に届けたいなと思っています」古川

「富山編」には富山県出身の柴田理恵さん、「新潟編」には新潟県出身の小林幸子さんが出演している。柴田さんは立山連峰を一望できる畑で野菜を育てる農家の女性を、小林さんは十日町市にあるスナックのママを演じている。

柴田さんは撮影を振り返り、

「『富山編』を観て、“富山あるある”がありすぎて、ゲラゲラ笑っていました! ドラマでも出てくる、『富山は何もないっちゃ』は、富山県人の口癖みたいなもの。だけど、 本当は富山には、ブリやカニ、白エビ以外にも、ものすごく美味おいしいものがいっぱあります。

野菜とかもとっても美味しくて。私はドラマで、ブロッコリー農家をやらせていただいたんですけど、実はブロッコリーも美味しいっていうのは、この時初めて知りました。富山県の人でも知らないんですよ。

新しい発見がいっぱいあるドラマなので、全国の方たちが富山県を知っていただき、富山県の人たちも『うちの県っていい県だな』っていうことを改めて感じていただける、すばらしいドラマだなと思いました」柴田

とドラマの魅力を説明。続いて小林さんも、

「私は十日町市にある、プロ歌手並みに歌がうまいというスナックのママを演じました。最初に台本を読んだ時、『コトコト』が何のことだか本当にわからなかったんですよ。撮影が終わって拝見した時に、スープで体があったまって、何も言わなくても人間の生き方を教えてくれるような作品になっていました。

ドラマでは『チンコロ』という、米粉で作った小さな細工物が出てきます。地元の人はよく知っている縁起物なんですけど、これを出していただけて、全国的に知っていただけることになり、すごくうれしいです。本当にすばらしいドラマだな思いました」小林

と、喜びの表情を浮かべた。

女の子が手にしているのが“チンコロ”。

柴田さんは農家の女性を演じたが、方言指導はもちろん不要だったと振り返る。

「地のまんまでやらせていただいたって感じですかね。周りの農家の方たちが見学でいっぱいいらしていたので、撮影の休みの時に、農家さんたちとずっとしゃべっていたら、スタッフの方に『柴田さんがいなくなった!』って騒がれるほど馴染なじんでいました。連絡先も交換して、里芋などの野菜をお取り寄せさせてもらっています」柴田

同じく方言指導いらずだった小林さんは、劇中「モーニング娘。」の「LOVEマシーン」を熱唱。歌詞の「モーニング娘。も~」の部分を「新潟娘は~」と歌い上げたが、これは小林さんからの提案だったという。

「本番で、『新潟娘は〜』と歌ったら、スタッフに『権利とかがあるので、一応確認しないと』と言われたんですよね」小林

制作統括の堀内裕介さんは、撮影前日に小林さんから「震災もあったし、新潟を元気づけたいから、『新潟娘』で歌いたい」と相談を受けていたという。

「私から(作詞・作曲の)つんく♂さんに連絡しまして、『小林幸子さんがそういった思いで歌われるんだったら、ぜひどうぞ』とご快諾いただきました」堀内


劇中で巻き起こる人間ドラマに、県の特色が反映されている

続いて、百貨店のバイヤー・宏人を演じる上でどういうことを意識したかと問われた古川さんは、

「宏人は百貨店のバイヤーとして全国を歩き回っているんですけれども、 ちょっと風変わりというか、マイペースで我が道を進んでいく人。バイヤーとしてはあるまじき性格なんじゃないかなと……。理性的で、淡々と人にものを言ってしまう、みたいな。

でも、彼自身が抱えているものもあって、心の底には優しさや愛情もある。演じる上で、本当はもっと近づきたいけど歯止めがかかってしまうという、人との距離感みたいなものは意識しました」古川

ドラマでは毎回、宏人が地元の食材を使って自らスープを作る場面が登場する。実は古川さん、普段はあまり料理をしないが、劇中では自ら包丁を握った。

「基本的に(料理のシーンは)自分でしました。『富山編』では魚をさばくといった難しいところはありましたが、現場でも指導していただき、みなさまのお力を借りて撮影することができました」古川

会見では、「食」「自然」といったキーワードに合わせて、小林さんと柴田さんが地元の良いところをアピールし、古川が判定をするという“プレゼン対決”が行われる場面も。2人はお互いの県について、パワフルにアピール。判定を求められた古川さんは、

「決められません! 僕も実際に行かせていただいて良さを知りましたし、お二人の話を聞いて、もっと知りたくなったところもあります。ドラマにはそれぞれの県の特色がふんだんに盛り込まれていて、そこで巻き起こる人間ドラマも、その県の特色が反映されています。ぜひ皆さんにご視聴いただいて、どっちがいいか決めていただけたら」古川

と、最終的な判断を視聴者に委ねた。

今回放送されるのは「富山編」と「新潟編」だが、シリーズは今後も続く予定。次はどこに行きたいかと問われた古川さん、

「それこそ47都道府県、全部に行きたいです。自分の地元(長野県)にもちょっと帰りたいなという思いもあります。今回、富山と新潟の知らないところを知れたので、これからも知っていきたいなと思っています。なので、ここ! というチョイスはできないですけれども、新しい場所に足を踏み入れていって、気づいたら47都道府県を制覇し、65歳ぐらいになっていたらいいですね(笑)」古川

と、さわやかな笑顔を見せた。


特集ドラマ「コトコト~おいしい心と出会う旅~」

【富山編】12月7日(土) BSP4K 午後9:00〜9:59
     12月8日(日) NHK BS 午後4:30〜5:29
     総合にて、 2024年度冬放送予定 

【富山編のあらすじ】
東京の百貨店バイヤー・結稀宏人(古川雄大)がやってきたのは、富山県・射水市。日本海にのぞむ新湊漁港を訪れると、仲買人の遥来(葉山奨之)と漁師の壮太(濱尾ノリタカ)の幼なじみ2人が、地元の魚の売り出し方をめぐってもめていた。宏人は、富山の魅力を伝えたいという遥来に案内されて食材探しへ。ところが海や山の食材を試すも「これが富山だ」というものはなかなか見つからず……。そんな中、遥来と壮太をめぐる過去の出来事が明らかになる。

【新潟編】12月14日(土) BSP4K 午後9:00〜9:59
     12月15日(日) NHK BS 午後4:30〜5:29
     総合にて、 2024年度冬放送予定 

【新潟編のあらすじ】
新潟県十日町市にやってきた東京の百貨店バイヤー・結稀宏人。宏人は食材探しの中で、縄文土器に惹かれて新潟へ移り住んできた相場美羽(高梨臨)と出会う。美羽は雪に囲まれるこの町で孤独を抱えていた。
宏人をきっかけに、地元で長年暮らすおばあさん・チヅ子(藤田弓子)や女子高校生の恵菜(新井美羽)たち、4人の不思議な関係がうまれる。そして、宏人がつくる一杯のスープが、雪国で凍ったそれぞれの心に変化をもたらす。

作:坪田文
音楽:光田康典
制作統括:堀内裕介
プロデューサー:田島彰洋、郷原陽介
演出:木村隆文、門脇弘樹、髙橋実香

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