NHKのテレビ番組「きょうの料理」は1957年11月に放送が始まりました。今年で68年目になります。
NHK放送博物館では、その歴史を総覧できる企画展「『きょうの料理』から見る日本の食」を開催しています。今回は展示の一部をご紹介します。
世界で最も長く放送されている料理番組
「きょうの料理」は3年前、放送開始65年目の年に、世界で最も長く放送されている料理番組としてギネス世界記録にも認定されました。
でも実は、料理の献立を紹介する番組の歴史は、さらに古く、なんと、約100年前のラジオ放送開始当初からすでに「料理番組」があったのです!
こちらは今回展示している1925年8月24日の番組表です。
東京放送局の本放送開始から1か月後。番組表には「家庭料理献立」という番組があります。
当時からテキストもあった!
さらに、番組で紹介した料理のレシピを、まとめて紹介するテキストも発行されていました。
これは放送開始から10年後の1935年に発行された『放送料理一千集』というテキストで、右側の本の表紙に「肉類編(=肉料理編)」と書かれています。開いてあるテキストのページをよく見ると、料理の名前は……「ぞうもつ……?」
“臓物薩摩汁”⁈
なんだか物騒な名前のメニューですが、レシピを見ると、おそらく今でいう「鶏のもつ煮込み」のようです。
ちなみに紹介されている分量は「5人前」となっています。これも今の時代とは異なり、大家族が普通だった昭和の家庭の様子がうかがえます。
このほか会場では「きょうの料理」が始まった当初のスタジオの様子を再現したコーナーや、歴代の人気レシピを紹介するパネルもあります。
放送100年の歴史の中で今も続いている料理番組の歴史を見ると、その時々の日本の食卓が見えてくる……NHK放送博物館で是非「味わって」みてください。
(文/NHK財団 NHK放送博物館 川村誠)