2009年から放送された、スペシャルドラマ「坂の上の雲」。当時、テレビドラマの常識を超えて、全3部が3年に渡って放送されました。原作は、司馬遼太郎が10年の歳月をかけて渾身の力で書き上げた同名小説。日露戦争とその時代を生きた明治の青春群像を描く人間ドラマです。

このたび、本作の再放送が決定。本放送の際は89分版だった本編を前・後編にわけ、再編集したものを総合で9月8日(日)より放送します(全26回)。BSプレミアム4Kでも89分版の放送もあります。

今回の再放送にあたり、主人公・秋山真之役を演じた本木雅弘さんからメッセージが届きました。

【物語のあらすじ】
明治維新によって、はじめて「国家」というものをもち、「国民」となった日本人。近代国家をつくりあげようと少年のような希望を抱きながら突き進んだのが「明治」という時代であった。
松山に生まれた3人の男、バルチック艦隊を破る作戦を立てた秋山真之さねゆき(本木雅弘)、ロシアのコサック騎兵と対等に戦った秋山好古よしふる(阿部寛)、そして俳句・短歌の革新者となった正岡まさおか子規しき(香川照之)。彼らは、時代の激流に飲み込まれながら、新たな価値観の創造に立ち向かい、自らの生き方を貫き、ただ前のみを見つめ、明治という時代の坂を上っていった。
生まれたばかりの「少年の国」である明治の日本が、世界の中でいかに振る舞っていったかを描く。

【主人公・秋山真之役/本木雅弘さんのコメント】

再放送のお話をうかがったときは、驚きと懐かしさと、作品が蘇る機会を得たよろこびとで、なんだか有り難いなと思いました。

撮影は2007年の11月からおよそ3年間で、その期間は「坂の上の雲」で秋山真之を演じることだけに集中して過ごしました。最終ロケ地の松山の海で撮影が終了した際には、「とにかく何とか辿たどり着いた」という放心と共にあんしたことを覚えています。

ドラマ「坂の上の雲」は、国内40か所以上、海外7か国でロケを行い、スタッフの多くは本当に10年がかりの仕事だったそうです。事実、あの規模で、あれだけの月日をかけて、あのような拘りで作品づくりに臨める経験はなかなかありません。

撮影が終わってから14年ほどが経ちますが、この作品でご一緒させていただいた方々の中には、渡哲也さんや加藤剛さんをはじめ、鬼籍に入られた大先輩方も多くいらっしゃいます。自分にとっては、時を経て思い出すたびにその特別感が増してくる、記念碑的な作品です。

今回、「坂の上の雲」を初めて観てくださる方も多いかと思います。原作の司馬遼太郎さんが、「21世紀を生きる君たちへ」という著書の中で、歴史について語られた言葉があります。

「歴史とは?と聞かれるとき、『それは、大きな世界です。かつて存在した何億という人生が そこにつめこまれている世界なのです。』と、答えることにしている」。

ドラマ「坂の上の雲」も、明治という時代を生きた大勢の人生が詰め込まれた作品です。新しいことが始まる予感に導かれた多くの若者が、夢を持つことから始まる物語です。男たちだけはなく、菅野美穂さん、松たか子さん、石原さとみさんなどが演じる明治の女性たちも溌溂はつらつと活躍します。

近代国家の成り立ちや戦争についての難しい話以上に見えてくるのは、ある意味、日本の青春時代とも言える明治を駆け抜けた若者たちの痛快、痛切な青春物語です。誰もが若さ故に無謀なこともして失敗し、傷つき、学んでいきます。そして少しずつ柔らかくしなかやに強くなっていく。その姿にきっと励まされたり慰められたりするでしょう。

そういう始まりの時代の大きなエネルギーの塊、そして、生きていることの眩しさを感じていただければと思います。

現代も、私たちの周りの世界は簡単ではありませんし、別の窮屈さを感じる時代だと思います。そんな今だからこそ多くの人たちに、明治を生きた人々の思いと輝きが届き、それぞれが追いかけた誇りを、まるで自分ごとのように共有して何かの力につなげていただけたら良いなと願っています。


また、9月1日(日)午後11時からは、本編の再放送に先立ち、「本木雅弘が語る スペシャルドラマ坂の上の雲」の放送も決定しました。

本木雅弘さんが、初回放送当時に収録の裏側などを語った映像に加え、今回の再放送にあたり、作品を振り返った新たなインタビューも。メイキング映像や本編の見どころなども交えて「坂の上の雲」の魅力が詰まった特番です。


本木雅弘が語る スペシャルドラマ「坂の上の雲」

9月1日(日))総合 午後11:00~11:40

スペシャルドラマ「坂の上の雲」

【44分版(全26回/89分版を前編・後編に再編集)
9月8日(日)スタート
毎週日曜 総合 午後11:00~11:44

NHKプラスでも配信します ※ステラnetを離れます

【89分版(全13回) 
10月4日(金)スタート
毎週金曜 BSP4K 午後8:15~9:44

原作:司馬遼太郎 ※「遼」の字は、本来「しんにょうの点が2つ」
脚本:野沢尚、柴田岳志、佐藤幹夫、加藤拓
音楽:久石譲
メインテーマ:「Stand Alone」(第1部:サラ・ブライトマン 第2部:森麻季 第3部:麻衣)
語り:渡辺謙
スペシャルドラマ「坂の上の雲」NHK公式サイトはこちら ※ステラnetを離れます

【初回放送】
89分版(総合テレビにて放送)
第1部 2009年11月29日~12月27日
第2部2010年12月5日~12月26日
第3部2011年12月4日~12月25日
44分版(全26回を通してBS プレミアムにて放送)※44 分版は、随時再放送しています
2014年10月5日~2015年3月29日