ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、山田よね役・土居志央梨さんから!


──今週、よねはうん弁護士(塚地武雅)の遺志を継ぎ原爆裁判の原告代理人として、とも(伊藤沙莉)は裁判官として、同じ法廷に立つことになりました。演じる中で、どんな気持ちになりましたか?

よねにとってトラコ(寅子)は、出会った時からずっと最強のライバルで、いなくなったら人生に張り合いがなくなっちゃうくらいの人。でも、だからこそ、誰よりも信頼しているんです。そんな2人がついに同じ法廷に……というのはとても感慨深かったですね。

一緒に雲野先生のところで働いていたときのことも思い出しました。当時と立場は違っていても、トラコが裁判官として、よねの弁護士としての姿を見守ってくれているのは、やっぱり頼もしかったです。「自分も精一杯やれることをやろう」と思わせてくれました。

──法廷で証言することになっていた原告の一人、吉田ミキ(入山法子)の思いをんで「出廷を取りやめにしよう」と言うシーンが印象的でした。よねは、どんな思いでそれを言ったと思いますか?

もちろん裁判に勝ちたいし、証言をしてほしい。だけど、そのために彼女の尊厳や心が傷つくなら意味がない。そのことを、よねはよくわかっているんですよね。

それは、かつて自分の服装をバカにした(高等試験の)試験官に向かって、強く言い返したときと同じ。“自分を大切にすることの大切さ”を、よねは知っているし、それを他人にも同じように当てはめられるよねは、やっぱり優しいんだと思います。

撮影では、ミキ役の入山法子さんの姿──特殊メイクでケロイドを表現されていたんですけど、それを目のあたりにすると、本当に心が苦しくなって、自然に言葉が出てきたんです。戦争の恐ろしさを改めて思い知りました。

実は恥ずかしながら、今回台本をいただくまで、「原爆裁判」というものがあったことも、その判決内容も、知らなかったんです。でも、実際の判決文を読ませていただいて……ちょっと泣きました。トラコのモデルであるぶちよしさんたち、当時の裁判官が、いかに勇気を持ってこの判決文を書いたのかが伝わってきて、そこで闘った人たちの思いにすごく感銘を受けました。