スマートフォンなどで誰でも簡単に動画を撮影できる時代。動画を自ら撮影・編集して発信したいというニーズは、企業・自治体から個人まで、幅広い層で高まっています。

NHK財団放送研修センターでは、NHKが放送で培ってきたプロならではのスキルをお伝えするセミナー「プロから学ぶ動画制作セミナー」を実施しています。
3日間で、カメラ撮影の基本や編集機の使い方、コメントづくりのポイントを学び、グループで協力して3分程の動画作品を作り上げます。

7月下旬に開催したセミナーの様子をご紹介します。


研修の様子。どう撮影したら、オセロゲームが面白く見えるかな?

まずは撮影の基本から

このとき実施したセミナーには、10人が参加しました。制作プロダクションで働いている人、住民に発信する動画を制作している自治体職員、カメラを触ったこともないが動画制作をしてみたいという人など、さまざまです。
製品のPR動画の制作を外部に発注する際に、的確な指示ができるよう構成を学びたい、というメーカーの広報担当者もいました。

1日目、まず、撮影の講義が行われ、人に伝わる映像を撮るための、サイズやカメラワーク、三脚・マイクの使い方、さらに自然光や照明を使ったときの光と影の活かし方についても学びました。この後の実習では、全員がカメラを手にし、講師の手ほどきを受けながら、オセロの対局を撮影。撮った映像は、対局の流れや勝敗がわかるように1分の動画に編集しました。

講師からは、「それぞれがどの色の石を打つかわかるように、対局者の顔と手にした石の双方を捉えた映像がほしい」とか「流れが変わった時の盤面や表情なども入れるといい」といった指摘が出ていました。

「勝負の流れが変わった時の盤面や表情なども入れるといい」(講師)

見ている人がわかるように……基本の“構成”を学ぶ

2日目は、撮った映像を編集でつないでいくときの「構成の立て方」について学んだ後、3つのグループに分かれて「折り鶴の作り方を教える3分の動画を制作する」というお題に挑みました。このお題、最も大事な点は“見ている人に(折り鶴の作り方が)わかるように!”ということです。動画を制作する際の基本です。

いくつもの工程がある中で、短い時間で折り方をわかってもらうには、どのように撮影すればいいのか、省略できる手順はあるか、おもしろく見せるための工夫をどうするか、メンバーで熱い議論を交わします。

メンバー全員で立てた構成をもとに、撮影、編集にとりかかりました。編集してみると映像が足りなかったり、コメントと合わなかったりして、追加の撮影を行う場面もみられました。

「折り鶴の作り方」がわかる動画にするには、どの映像をどの順につなげばいいのだろう?

作品にしてみてわかったことも……

3日目は、再編集の後、コメントやスーパー(字幕)も入れて作品を完成させ、全員で視聴しました。この場では、「映像と音、コメントを合わせるのが難しかった」「撮り直しがあったので、構成を立てるのにもっと時間をかければよかった」と、苦労した点なども披露しました。

「ポイントっていろいろあるんですね」(受講者の声)

講師からは、

「一つのシーンを撮る時にはアップ・ロング・中ロングを必ず撮影するように意識してほしい。最低限のシーンを作れる」
「背景の音だけでも十分に魅了することができるので、音楽は必要最小限のところだけにつけた方がいい」

というアドバイスも。

受講した人からは、「みんなで意見をすり合わせ、仕上げていくのが新鮮で楽しかった」「人にどう伝えるか、伝わるかを大切にしたい」といった感想も聞かれ、セミナーへの参加に手ごたえを感じた様子でした。

NHK財団放送研修センターでは、「プロから学ぶ動画制作セミナー」をこれからも、実施していく予定です。

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(取材/文 研修事業本部 桑代百合子)