動画制作の取材で香川県・三豊市みとよしを訪れました。NHK財団では省庁や自治体から委託を受けて動画制作をしており、今回のクライアントは国土交通省さんです。

三豊市では様々なサービスが生まれていて、国土交通省が進めている「地域生活圏」のモデル事例になっています。その様子を動画で伝え、「地域生活圏」を広く知ってもらうのが狙いです。

※地域生活圏とは…
国が進めている新しい地域の在り方。人口が減少する中でも、官と民の連携などで日常的に必要なサービスを持続的に提供するエリアづくりのこと。(ジャンルは移住、人材育成、交通、空き家活用など多岐にわたる)

まずは、三豊市を代表する景色の下見から。


三豊市は人口6万ほどの瀬戸内海に面するまち。市内の紫雲出山しうでやまからは島々が連なるこれぞ瀬戸内という絶景を望めます。遠くには瀬戸大橋も見えました。

また父母ヶ浜ちちぶがはまは人気のSNSスポット。引き潮の時に残った海水が鏡のようになることから、日本のウユニ塩湖の別名でも知られ、年間に50万人が訪れます。この日は観光客はまばらで、風で海水面も鏡のようなにはならなかったので、あえて、砂の模様を撮影してみました。

三豊市で2022年に始まった人材育成のサービス「瀬戸内・暮らしの大学」は、地元の企業19社の出資で運営されている有料の市民大学です。「地域生活圏」で考えられる「人材育成」の役割をしています。プログラムには、「けん玉」「ダンス」などのエンターテインメントから、「財務」や「プレゼンテーション」など、すぐに仕事に役立つものまでそろっています。

年齢や居住地に関係なく利用でき、“地域での暮らしを豊かにする学びを提供する”のが目的です。校舎は出資会社のひとつであるタクシー会社の元営業所を改築して使っています。

この日は茨城県から高齢者介護の専門家を招いて授業が行われ、地域の介護士や理学療法士などが出席し、介護を受けるお年寄りが生き生きとした生活を送るための介護者の考え方や介護の方法を学んでいました。

「瀬戸内・暮らしの大学」は、地域の企業が協力しあうことで、それまで地元になかった事業を実現していて、社員研修などにも利用されているそうです。

こちらは2020年に出来たシェアハウス「GATE」です。三豊市への移住を考えている人を受け入れています。

運営するのも、2018年に三豊市に移住してきた女性です。「周りの三豊の会社のみなさんに聞くとどこも人が足りないとおっしゃる。そして都会には地方でやりがいのある仕事をしながら暮らしたいという人がたくさんいる」と感じ、その両方をつなげる仕組みとしてこのシェアハウスを始めたとのことです。

左:延亜華利さん 右:黒澤剛さん

このシェアハウスに2023年の10月から暮らす延亜華利(福岡出身)さんと黒澤剛さん(北海道出身)ご夫妻です(妻の延さんは旧姓で活動されています)。2人は30代。東京と香川の「二地域居住」をされています。国土交通省では新たな生き方として「二地域居住」も推進しています。

延さんは企業の広報やマーケティングをしていましたが、コロナの蔓延を期に会社の方針で業務がすべてリモートワークになりました。「リモートで働けるなら東京以外にも暮らせる場所があるといいよね」と2人で考え、昨年三豊に家を購入。

リフォームが済むまでこのシェアハウスに暮らしています。黒澤さんは企業の法務の仕事をしていましたが、二地域居住を期に独立に向け準備をしています。

「私にとっては時間にせかされない地方の暮らしも大切だし、都会の最新の情報にも触れていたいので、東京での拠点も残してます」と延さん。
「二人にとってより豊かな生活につながると、二地域の暮らしを選択しました」と黒澤さん。

今後、さらに三豊市で行われている「交通」や「空き家活用」などの取材も加え、三豊市で新事業が次々と生まれている様子を分かりやすくまとめます。多くの方に「地域生活圏」を理解して頂ける動画にしたいと考えています。


この地域生活圏の動画は3月末に完成し、その後国土交通省のHPなどで公開される予定です。NHK 財団では、動画制作を通じて地域を応援する活動業務をしています。ご興味のある全国の自治体の皆さん、お気軽にご連絡ください。

(取材・文/NHK財団 展開・広報事業部 中村良樹)

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