主人公・吉澤未来(伊藤万理華)の同期で、Pテレのアシスタントプロデューサーであるあしたか。未来よりもドラマ班でのキャリアは長いが、まだ自分の企画が通ったことはない彼は、いくつもの壁にぶつかる未来に静かに寄り添い、時に助言をしてきた。

蘆田を演じる結木滉星さんに、出演が決まったときの気持ちや、蘆田をどんな人物と捉えているかなどについて聞いた。


——「パーセント」に出演することが決まったときのお気持ちは?

すごくうれしかったです。とてもチャレンジングな企画だと感じたので、楽しみでありつつ、作り上げるのはきっと大変だろうなとも思いました。障害のある俳優のみなさんと一緒にドラマを作ることに挑戦しようとしているのが伝わってきました。

まず、台本を読んだだけで、プロデューサーさんの熱い思いが伝わってきたんです。本当にこれをやりたくて、ずっともがいてこられたんだろうなという印象を受けました。

—— 蘆田を演じるうえで心掛けていることや役のみどころを教えてください。

蘆田は結構繊細で、心が常に動いていて、いろんな感情が駆け巡っている人です。自分自身の劣等感とかプライドとか、吉澤に対する同期ならではの思いとか、いろいろな感情があって、演じるのは凄く難しいと感じました。

でも吉澤に対してとても優しく接する一面も持っていると思います。蘆田が吉澤につきあってあげているのは、吉澤の真っすぐなところ、自分がやりたいことに芯を持っていて、突っ走っているところに魅力を感じているからだと思います。それは、蘆田にはない部分だと思っているからこそ、そばで支えてあげたいと思っているかなと。

でも、心のどこかで「負けたくない」というプライドも持っている。ずっとドラマ班にいたのに、吉澤がバラエティー班から引っ張られてきて、すぐに企画も通って……それはしっしますよね。
このドラマでは吉澤と蘆田、ふたりの関係性が大事だと感じたので、一つ心がけていたこととして、ふたりのシーンが恋愛には見えないようにしたいと思いました。吉澤とのシーンは、蘆田にとってもベースになる部分が多いので、最初に撮影したゲームセンターのシーンから、その空気を作れたことが大きかったと思います。

——撮影現場の雰囲気や共演者と印象に残っていることはありますか?

吉澤役の伊藤万理華さんとの共演は初めてでしたが、もう、吉澤にしか見えないです。とても気さくで明るくて、本当にわいらしい方だなと思いました。

僕は劇団「S」の皆さんとのシーンが少なくて、それは残念なんですが……。でも、何回か一緒に本読みをしたり、ちょっと撮影でご一緒したりするだけでも、皆さんが明るくて、こっちが元気をもらえています。

特に、ハル役の和合(由依)さんは強いですよね。監督やプロデューサーの方に意見を言うのはなかなか難しいことだと思いますが、和合さんは、いとも簡単にやってのけていて。本読みの段階から和合さんはハル役にピッタリだなと思っていました。

Pテレドラマ班の皆さんは優しい方ばかりで、全員から刺激をもらっています。特に編成部長役の藤谷さん(橋本さとし)との撮影は、すごくにぎやかで、アドリブも多くなって、真剣にやっているだけなのに、なんでこんな面白さがあるんだろうって思います。

シーンが面白くなるととともに、役として成立しているのは、さまざまな経験をされているからこそなんだろうなと、お芝居を見ていて大変勉強させていただいいております。

——放送を楽しみにしている視聴者の方々へのメッセージをお願いします。

このドラマでは、蘆田も僕自身も、別にすっきりして終わらなくてもいいのかなと思っています。演じていて、自分が今、どこの感情にいるのかわからない瞬間があって。蘆田は嫉妬もするし、決してフラットじゃないんですが、今はそれが心地よくなっています。最後に、その気持ちをすっきりして終わらせるより、本当に悩んでいる蘆田のままで終わるのもいいかなと。

「パーセント」という作品は、すごくメッセージ性の強い作品だと感じています。人と人のつながりとか、うまくいかないことなど、どんな人生を生きていても、そういうことがたくさんあります。

それでもあきらめず、人と関わっていくことって大切だなと思ったので、そこは見ている方にも感じていただき、諦めないで自分らしく生きていってほしいと思います。僕自身も、この作品に関わって考え方が変わったので、きっと感じるものがあると思います。


土曜ドラマ「パーセント」(全4回)

毎週土曜 総合 午後10:00~10:45
毎週土曜 BSP4K 午前9:25~10:10
翌週水曜 総合 午前0:35~1:20(再放送)

作:大池容子
音楽:池永正二
出演:伊藤万理華、和合由依、結木滉星、菅生新樹、小松利昌、山下桐里、成木冬威、水口ミライ、はしぐちしん、森田かずよ、中川圭永子、チタンヘッド、梅林亮太、立川茜、藤原ももな、中川わさ美、河合美智子 / 岡山天音、菊池亜希子 / 山中崇、橋本さとし、余貴美子、水野美紀ほか
制作統括:櫻井賢、安達もじり
プロデューサー:南野彩子、葛西勇也
演出:大嶋慧介、押田友太