「Pテレ」ドラマ班のチーフ・プロデューサーで、主人公・吉澤未来(伊藤万理華)の上司でもある、植草秀うえくさひで。第2回で、実は障害のある親族がおり、未来の企画が当事者を傷つけないか、厳しい視線を向けていたことが明らかになった。

厳しくも温かく未来を導く植草役の山中崇さんが、演じるにあたり植草をどんな人物と思っていたかや、今作に携わることで、俳優として改めて感じたことなどを語ってくれた。


——「パーセント」に出演することが決まったときのお気持ちは?

僕はこのようなテーマを題材にしたドラマに参加したことがなかったので、良い機会をいただけたと思いました。

僕自身、年齢的にもそういうポジションに置かれる存在なのですが、植草は、中間管理職という立場。これから育っていく若い世代が、いずれ自転車を1人でこぎ出せるようになるための「補助輪」のような役割であろうと思っています。

——植草はどんな人物だと思って演じられていますか?

植草は悩み続けている人です。モノづくりに貢献しているけど、そこまで日の目を見ない、縁の下の力持ちのような人だから、うまくバランスを取ることを考えていると思います。

でも、このドラマに参加することで、植草自身も学んだことは大きいんじゃないでしょうか。自分のものではない、若い世代の企画をどう作品として成立させるかということを考える中で、障害者を扱うドラマに関わることになり、「そもそもドラマってどういうものなんだろう、何のためにあるんだろう」と立ち返ることができた。この企画に携わったからこそ出会えたことがいっぱいあると思うんです。

考え続けることが大事というか、そこを止めちゃったら終わるんだろうなと、改めて感じました。

あと関西のことばは、僕自身一番難しい言葉だと思ってます。過去にも(関西ことばの役を)演じたことはあるんですが、「聞いた瞬間に、ネイティブじゃないのがわかるよ」と言われたので……。でもせっかく言葉を使わせてもらっているので、敬意を払って演じていきたいと思います。

——撮影現場の雰囲気や共演者と印象に残っていることはありますか?

主人公を演じる伊藤(万理華)さんは、体を通してセリフをしゃべっている気がするんです。そこにうそがないと思いました。
リアクションについても悩んでいるし。何気ない仕草も嘘がない。ちゃんと自分で感じて、表現されているんだなと。

ハルちゃんを演じる和合(由依)さんは、本当に芯が強くてエネルギッシュですよね。お芝居しながら関西ことばを使うのは、相当ハードルが高いと思うんですけど、しっかりやり遂げていて、ことば指導の方も「ハルちゃん、すごい!」と言っていました。

僕も学ぶことが多いし、それは彼女が障害者だからということでもなくて、 和合さん自身がすてきだと思うので、「障害」と「健常」という言葉が分けるものって何だろうって考えさせられます。

僕個人としても、「何のためにドラマや映画、演劇があるんだろう」というのはよく考えるんです。ほんの1ミリでもいいんですけど、作品がちょっとでも誰かにとってのそよ風になってほしいし、一歩を踏み出すものであってほしいなと、最近思います。撮影の現場は、健常者とか障害者とか関係なく、みんなで一つのものをつくっていく場でありたいですね。

——放送を楽しみにしている視聴者の方々へのメッセージをお願いします。

今回の作品は、今まであった道を歩くのではなく、今までなかった道に踏み込んでいるドラマだと思います。大変なこともあると思いますが、振り返ったら、このドラマが道を作っていたらいいなと。

みんな、本当に一生懸命に取り組んでいます。一生懸命であることって、当たり前なのかもしれませんが、どうしていくべきか、何がいいのかを真剣に考えているから、それが伝わればと。いろいろな意見があっていいと、僕は思うんです。

この作品が、その当たり前になるための第一歩だと思っているので、そういう思いで関わらせてもらっています。


土曜ドラマ「パーセント」(全4回)

5月11日(土) 
毎週土曜日 総合 午後10:00~
毎週土曜日 BSP4K 午前9:25~
翌週水曜日 総合 午前0:35~(再放送)

作:大池容子
音楽 :池永正二
出演:伊藤万理華 和合由依
結木滉星 菅生新樹 小松利昌 山下桐里 成木冬威 水口ミライ
はしぐちしん 森田かずよ 中川圭永子 チタンヘッド
梅林亮太 立川茜 藤原ももな 中川わさ美 河合美智子
/ 岡山天音 菊池亜希子
/ 山中崇 橋本さとし 余貴美子 水野美紀 ほか
制作統括:櫻井賢 安達もじり
プロデューサー:南野彩子 葛西勇也
演出:大嶋慧介 押田友太