人気漫才コンビ・ナイツの塙宣之さんと土屋伸之さんの師匠は漫才師の故・内海桂子さん。内海桂子・好江コンビで活躍、好江さん亡きあとも一人で舞台に立ち続けました。弟子のお二人が、桂子師匠との思い出を語ります。

聞き手/山下信この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2024年5月号(4/18発売)より抜粋して紹介しています。


――初めて会ったときの印象はどうでしたか。

土屋 すでに80歳近くでしたから、自分の祖母と同じ世代。もうおばあちゃんですね(笑)。桂子師匠も当初から、僕らに対しては孫を扱うように接していましたしね。

 我々は当時20代前半。桂子師匠の漫才をちゃんと見たことはなかったんです。だから楽屋に行って「今日から弟子になるナイツです」とあいさつしたときは、めちゃくちゃ緊張したのを覚えています。一方師匠は、「え? メイツ? 誰なのこの人たち」みたいな感じで。

土屋 弟子入りを認めてくれたのかどうかもいまいち分からないまま始まりましたね。

――桂子師匠から教わったことで、印象に残っていることはありますか。

 言葉遣いはすごく言われましたね。例えば「やばい」と言うとすごく怒られる。3人で漫才やってるときも「師匠、やばいでしょう」って言うと「なんで“やばい”って言うんだよ!」って口酸っぱくして言われて。だから僕らの漫才はふざけていても、言葉遣いはまあまあちゃんとしなきゃいけないって身につきました。

土屋 言葉選びのときに師匠の顔がちょっとよぎるというか。「こういう言い方すると、師匠は怒るかな」って考えてるところはあるかもしれませんね。

―今も忘れられない言葉はありますか。

 「言葉で絵を描きなさい」とよくおっしゃっていましたね。最初はどういうことなのか全く分からなかったけど、少しずつ分かってきた気もします。「どういうことですか」って聞いておけばよかったですね。

土屋 分かったような顔をして、「はあ、ありがとうございます」で終わらせちゃってたので(笑)。「お客さんが絵を思い浮かべられるよう、丁寧な言葉を選びなさい」ってことかとも思うんですが。そのわりには桂子師匠は舞台で突っ込むとき、言葉より先に手が出るときがありましたけどね(笑)。すごい勢いで左手が飛んでくることもあった。 それから印象に残ってる言葉に「漫才は宇宙だ」っていうのがありますね。それも今考えると、宇宙ぐらい無限の広がりがあるものっていう意味なのか、よく分かんないまま亡くなっちゃった。

 一度意味を聞いたんですけど、何言ってるのかちょっと分からなかったですね(笑)。

※この記事は2024年1月15日放送「生涯現役 内海桂子のプロの教え」を再構成したものです。


漫才コンビ ・ナイツ 塙宣之・土屋伸之インタビューの続きは月刊誌『ラジオ深夜便』5月号をご覧ください。ナイツの舞台への“師匠乱入”の思い出話や、内海師匠が教えてくれたことなどについても語っています。

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